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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第588話】
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ードあったっけ? 忘れてた」

「へ? ……ぷっ! あははははッ! わ、忘れるほど集中してたんだ?」


 思わず可笑しくて笑う鈴音、忘れさせるほど、ヒルトと鈴音の接近戦は激しさを窮めていたと謂えなくない。


「ふふん。 使ってもいいわよ?」

「いや、最後までこれでいくさ」


 そう言って北落師門を腰だめに構えたヒルト――鈴音はその構えを見て、直感でヒルトは北落師門を投げる――。

 ヒルトが持つスキルの一つが具現維持限界を応用したスキル、未だに名称を着けてないのはヒルト自身他にも使い手がいるのだからその人が着ければいいと思っている。

 無論、世界広しといえどこんな応用した技を使うものはいない。

 唇の端をを吊り上げた鈴音――双天牙月を構える。

 刹那、ヒルトが動く――北落師門を構えたまま――瞬時加速をかけた。

 読み違えた――一瞬で判断した鈴音だが、逆に言えば此方が投擲すれば勝てる。

 迷うことなく双天牙月を振り切る鈴音、手から離れた双天牙月は大きく円を描いてヒルトに突き進む。

 勝った! ――だが鈴音は忘れていた、ヒルトが直角カーブ出来るだけの身体能力を持っていたことに。

 コンマ一秒にも充たず、ヒルトは瞬時加速中の直角カーブ――突如視界から消えたヒルトに、思考が追い付かない鈴音。


「悪いな、俺の勝ちだ!」


 背後をとったヒルトの一閃が、鈴音の脇腹へと当てられた。

 鈴音の絶対防御が発動と共に試合終了のアナウンスが流れた。

 読み違えた――否、ただヒルトの戦う選択肢が鈴音以上に多く、一瞬で見抜く動体視力と反射神経がものをいった。

 どれも全て、入学当初から行っている地道な訓練が身を結んだ結果と謂える。


「……あーあ、負けちゃったか。 悔しいな」


 悔しさ滲ませる鈴音――そんな鈴音にヒルトは言う。


「リベンジマッチなら何時でも受けるぞ、鈴音」


 ニッと白い歯を見せたヒルト、不意に見せたその笑顔に自然と高鳴る鼓動。


「……ふふん、次はあたしが勝つからね! 首を洗って待ってなさいよ」


 頬を紅潮させ、鈴音はそういうとヒルトは笑顔で返した。

 二戦目、危なげながらもヒルトが勝利を納める結果となった。
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