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=USJ襲撃編= F.T.P
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った暴力か、そうでない暴力かの違いでしかない。だから制約の少ないヴィランは、思いつく限りの自分が有利な戦い方を用いてくる」

 それはそうだ。個性は強力無比。それを無制限に使えるヴィランが有利だというのは、いつだかの実技授業でも習った事でもある。もっともその授業ではヴィラン側にも一定の制約を課されはしたが。爆豪の半ばルールを無視しかけた攻撃には身が震えた。

「ヒーローが戦うのはヴィランだ。だからヒーローは皆の希望でありながら、ヴィランの思考や戦い方をよく覚え、考えなければならない。例えば緑谷少年がよくノートにものすごい勢いで個性のメモをしているだろう?あれ、見たことあるかい?」
『は、はい………そんな使い方思いつかない、っていうようなことまで書いてあって驚きました』
「だろうね。あそこまで行くと一種偏執的とまで言えるが………ともかく、あれはヒーロー分析というだけでなく、その個性の持ち主と相対したらどんな戦法を用いるかという予測にもなっている。実際それで緑谷少年は爆豪少年と渡り合えた」

 緑谷くん、か。不思議な人だと思う。普段は臆病でどっちかというと自分に近く感じるのに、実戦では逆に誰よりも勇敢に――身を捨ててまでヴィランに戦いを挑んだ。あの勇気も、そのノートと関係あるのだろうか。

「少し話が遠回りになってしまったがつまり、だ。君は『相手を倒す』という考え方が弱いんだ。技を放つ事は出来るが、それを人に当てるときに躊躇うのは、攻撃で相手を倒すというところまでイメージできてないせいだと私は思う。ヒーローは確かに優しさも必要だが、時には多くの人々の平和の為にどんなヴィランでも打倒しなければならないという非情な面も存在する」

 傷つけるのが嫌だけど、傷つけなければならない。それがヒーロー。テレビの向こうでヴィランを吹き飛ばしているだけに見えたオールマイトの、イメージと違う重い言葉に、私は暫く言葉が出なかった。同時に、怒りが湧いた。

 私は変わりたいなんて言っておいて、また甘えた事を考えていた!
 こんなままではいつか本当に、水落石くんみたいに甘えた人の足を引っ張る!
 私のせいで誰かが傷つくなんて、絶対に自分を許せない!

 私の様子を見たオールマイトは、やがてその重い口を開いた。

「……ところで、もうすぐ雄英体育祭だね」
『えっ?あ、そうですね……?』
「雄英体育祭は世間も大きく注目する一大イベントだ。将来の所属先に関わるだけでなく、生徒内でも成績の善し悪しで新たな可能性を編入、或いは成績の悪い生徒を落とすという事もある。ここまで厳しくするのも、雄英の超実戦的教育方針によるだろう。そこで、だ。君に一つ、先生らしく課題を出してみようかと思う」

 最強のヒーロー、オールマイトから、まだ誰でもない――ヒーロー科
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