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変身しなくても
第一章
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                 変身しなくても
 柿屋徹也はとにかく目立つ、まず背が高く一八六ある。小さめの目は優しい感じで眉はしっかりとしており口は大きめだ。髪の毛は奇麗で耳を出した七三分けにしている。 
 職業は俳優、それも特撮ものの常連だ。声優としての仕事も多くそちらで主役を演じることも多い若手の俳優だ。
 デビューから十年経った今でも特撮番組に縁がある、それでよく最初に演じたヒーローのことを言われる。それで事務所でマネージャーの立石守矢にも言うのだった。
「俺はもう一生ですね」
「そうだよ、ヒーローだよ」
 まさにとだ、立石も徹也に答える。徹也程ではないが立石も長身で一八〇はある。恰幅のいい身体付きとふくよかな顔立ちは何処か力士を思わせる。髪の毛は黒でオールバックにしている。その彼も言うのだ。
「君はね」
「そうなんですね」
「本当に一生だよ」 
 彼が今言った通りにというのだ。
「君は一生ヒーローだよ」
「ついて回るものなんですね」
「特撮のヒーローはね」
「ドラマでもアニメでも色々な役やってますけれどね」 
 確かにデビューはそこからで今も特撮と縁があるがだ。
「この十年、舞台もやって」
「そう、けれどね」
「俺は一生ですね」
「ヒーローなんだよ」
「そういうことですか」
「それだけ有名なヒーローでインパクトもあるから」
 世間への印象、それもというのだ。
「これまであのシリーズに出てヒーローになった人が皆そうだけれどね」
「俺もですね」
「ヒーローなんだよ」
 それも一生というのだ。
「それが看板にもなるしね」
「俺の看板ですね」
「嫌かい?」
「まさか、オーディションで合格した時は」
 その十年前のことを思い出してだ、彼は目を輝かせたうえで立石に答えた。
「どれだけ嬉しかったか、それで一年演じられて」
「嬉しかったんだね」
「ずっと最高の気持ちでした、シリーズは全話観てるんですよ」
 実は子供の頃から好きだ、そこまで思い入れがあるもっと言えば愛しているシリーズだからだ。
「嫌な筈ないですよ」
「ヒーローと言われることがだね」
「はい、アイドルや女性声優の人達にも言われますけれどね」
 ヒーローとだ、言うまでもなく。
「それもまたです」
「嬉しいんだね」
「俺は一生ヒーローですね」
「それがずっと君の俳優人生の看板になるから」
「ええ、やっていきます。それに」
 今度は徹也から言った。
「自分はヒーローって思うと生活が違いますね」
「ぴしっとなるんだね」
「はい」
 そうした効果もあるというのだ。
「何かこう」
「確かに君の生活は真面目だね」
「酒は飲みますけれど早寝早起きで」
 規則正しい生活を送っていてというのだ。
「煙草も吸わない
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