第十一章
[8]前話
「有り難うございます」
「いいさ、しかしいい笑顔だな」
彼のその笑顔を見ての言葉だ。
「俺とはじめて会った時は笑ってなかったがな」
「あの時は笑えなかったです」
「状況が状況でだな」
「そうでした、ですが先輩が声をかけて話をする様になって」
「そうしてか」
「笑える様になりました」
「話をしているとか、俺と」
岩崎も言う。
「やっぱりな、人間は誰かな」
「話をする人がいるとですね」
「違うからな」
「話をする人といいますか」
ここでだ、哲承は言った。
「友達ですね」
「友達か」
「はい、友達がいると違いますね」
「そうだな、俺達はそうだな」
「先輩と後輩ですけれど」
「友達だな」
「そうですね」
「ああ、俺も言われて気付いた」
実は岩崎も先輩と後輩だと思っていた、そのくくりの中にいたのだ。だが二人の関係を考えてみるとだった。
「俺達は友達だ」
「そうですね」
「じゃあな」
「はい、友達として」
「これからも付き合っていこうな」
「こう言ったら何ですが」
前置きをしてだ、哲承は岩崎に言った。
「先輩がお話したいことがあれば」
「話していいか」
「僕でよければ」
「そうだな、じゃあその時はな」
「宜しくお願いします」
「こちらこそな」
「高校の時は辛かったですけれど」
失恋からの流れはだ、だがそれでもだった。
「先輩と会えたと思いますと」
「よかったか」
「今はそう思えてきました」
「そうか、ならな」
「それもよかったです」
哲承は微笑んで岩崎に言った、そして彼に正式に結婚式への出席を頼んだ。岩崎は自分の結婚式に出る様に言ってだ、そのうえで笑顔で頷いた。哲承もまたそうした。
痩せてみると 完
2016・10・19
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