第三章
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「あの、だからね」
「ほら、あんたこの前告白したじゃない」
「そうしたんでしょ?」
彩友美の周りの女子達も言う、かつて口々に哲承を罵ってきて陰口を聞こえる様に言い言い触らしさえしていた面々が。
「じゃあ願ったりじゃない」
「彩友美がいいって言ってるのよ」
「それも自分からね」
「じゃあ付き合いなさいよ」
「よかったわね」
「・・・・・・ざけるな」
哲承は彩友美だけでなく彼女達の言葉も聞いてだ、まずは。
こう言った、そして。
「ふざけるな!」
学校中に聞こえる様な声で彩友美達に叫んだ。
「何が付き合いなさいよだ!ふざけるな!」
「ちょっと、何言ってるのよ」
「彩友美が付き合ってって言ってるのよ」
「それならいいじゃいない」
「あんたが先に告白したんじゃない」
「それで彩友美もいいって言ってきたのよ」
「誰が付き合うか!人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
怒りを爆発させてだ、哲承はまた叫んだ。
「誰が御前みたいな奴と付き合うか!二度と俺の前に姿を表すな!」
「えっ、付き合ってあげてもいいって言ってるのよ」
彩友美自身も戸惑いながら哲承に言った。
「それで何よ、その返事」
「御前なんかこっちから願い下げだ!」
こう言ってだ、哲承は。
踵を返してその場を後にした、後ろで喚く彩友美達の声を聞きながら。
この話はすぐに学校中に知れ渡った、彩友美達が言い回ったこともあったがこうした話は瞬く間に広まる。悪い話は光よりも速く壁も突き抜ける。
そしてだ、男子生徒達も彼に言ってきた。
「御前宇野振ったって?」
「何で振ったんだよ」
「先にコクったの御前だろ」
「何でそれで拒否るんだよ」
「そうしたかったからだよ」
怒った声と顔でだ、哲承は彼等にも返した。
「だからだよ」
「何だよ、その返事」
「そんないい話ないだろ」
「向こうから言ってきたのにな」
「それで拒否るってな」
「訳わからないことするな」
「随分とな」
多くの者が首を傾げさせた、だが哲承は確かに彩友美の告白を突っぱねた。そしてこの日からこれまで以上にだ。
彼は誰とも交わらなくなり一人黙々とダイエットを続けた。走り泳ぎストレッチもしてだ。食事もカロリーの多いものは控えていた。
彼のスタイルはそのままどころか痩せていく一方だった、そして。
「あいつもうな」
「誰とも話をしようとしないな」
「いつも一人だな」
「声をかけても反応しないしな」
「そして何も言わない」
「完全に壁出来てるな」
彼が造ってしまっていた。
「付き合いにくくなったぜ」
「入学当初はそうでもなかったのに」
「変わったな」
「暗くなったしな」
とかく偏屈で無口で気難しくなった、校内の誰とも交流を持とうと
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