第二章
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そしてランニングだけでなく地元のプールにも通う様になりサウナでも汗を流した、筋力トレーニングにも励んだ。
そうしているとだ、百キロを超えていた彼の身体は。
見る見るうちに痩せた、そして気付けば腹はすっかりへっ込み頬はすっきりとしていた。身体の脂肪は殆どなくなっていた。
顔立ちは切れ長の目に引き締まった唇、見事な黒髪とだ。まるで別人だった。
その彼にだ、クラスメイト達は驚いて声をかけた。
「御前痩せたな」
「この三ヶ月でな」
「一体どうしたんだ」
「何があったんだ」
「ランニングと水泳はじめたんだよ」
暗く沈んだ顔でだ、彼は答えた。
「筋トレも。食事も変えたし」
「それでか」
「それでそこまでなったのか」
「急に痩せたか」
「そうなったのか」
「そうだよ」
拒む様な顔での返事だった。
「それでだよ」
「そうか、食うもの変えてか」
「スポーツもしてか」
「それで痩せたのか」
「そこまでか」
「そうだよ、もう二度とね」
哲承は誰とも目を合わせない様にして言うのだった。
「太らないか」
「そうか、しかしな」
「御前痩せたら結構いいな」
「顔立ち悪くないぜ」
「結構男前だぜ」
「そうかな」
自分のことだったが素っ気ない返事だった。
「僕は別に」
「いや、いいぜ」
「それならもてるんじゃないか?」
「だといいけれどね」
やはりこう言うだけだった、そして。
彼は相変わらず誰とも関わろうとしなかった、いつも一人でいた。だがその彼の下駄箱にある日だった。
手紙が入っていた、そこにはこう書いてあった。
『今日の放課後校舎裏に来て下さい』
こう書いてあった、そして。
哲承はその手紙を読んでその日の放課後実際にだった。校舎裏彼が前に告白した彼のクラスがある後者のその裏に行くと。
何と彩友美がいた、彩友美と一緒にだ。彼を散々囃し立て罵ってきた一年の女の子達もいた。その彼女達が彩友美に言っていた。
「ほら、来たわよ」
「言いなさいよ」
「折角来てくれたんだからね」
「だからね」
「うん」
彩友美は周りの言葉に頷いてだ、そしてだった。
自分のところに来た哲承にだ、こう言った。
「あの、この前告白してきたよね」
「うん」
哲承は彩友美に表情を変えずに返した。
「三ヶ月前だね」
「あの時はね、ちょっとね」
視線を左に流しながらの言葉だった。
「その、茅野君が太ってたから」
「駄目だったんだよね」
「けれどね、今はね」
顔を赤くさせて言うのだった。
「痩せたし痩せてその、よく見たら」
「見たら?」
「タイプなのよ」
こう哲承に告げた。
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