10,八双飛び
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い訳してんだ、俺は。
「借りは作らない主義なんダ。何でも1つ頼みごとをきいたげるヨ」
未だに、俺の胸板に顔をうずめて、アルゴは俺に言ってくる。
どんな顔してるかはわからないけど、いつもと感じが違うから笑い顔では無さそうだ。
「考えとくわ……だから、ちょっと、マジで、」
こんなことされたら、俺だって何か大事なものを破ってしまいそうだ。
フワリと抱き返してから、そしてゆっくりと肩を掴んで距離を取る。
「クロちゃんのいくじなし」
むっとした顔を浮かべたのはほんの一瞬。俺の手をすり抜けてヤヨイの横に戻ったアルゴはいつもの小憎たらしい雰囲気に戻っていた。
「「ごっござるぅぅ」」
後ろに気配を感じて振り返ると、先程以上に何やら禍々しい気配を纏った「風魔忍軍」の二人が立っていた。
まだアルゴを狙ってんのか!!思わず、彼女との対角線に入ろうと右に一歩ずれる。
ずい、っと右に一歩ずれる風魔忍軍。
「ん?」
思わず、気になってもう一歩右に避けると、風魔忍軍も右に一歩。
っす
ズイ
っす
ズイ
ダダダ
ザザザザザ
思わず走って右に移動したが、完全についてくる。
「おっ、おい?」
「あの疾風のような高速体術」
「クナイを扱う正確さ。そしてなによりーー」
「「あの空中歩法はまさに忍の奥義『八双飛び』!!!!」」
キラーン。と輝く4つの瞳。俺は今さらながら、コイツラの心のイベントフラグを全て回収し尽くしたことに気付いた。
「クロウ殿……いやオカシラと呼ばせてたくでござる!!」
「オカシラ!!拙者らと共に『風魔忍軍』を今こそ旗揚げする時で、ござる!!」
「ま、待て。俺のあれは別に忍術なんかじゃ……それに体術はいいのか?」
「忍に二言はござらん。アレは自力で探すでござるよ!!」
「それに、今はオカシラに教えを請う方が大事でござる!!」
ジリジリと後退しながら、さまよう瞳で頼りになる相棒たちを探す。
いつの間にか先ほどの位置から他の観客たちに紛れるように立っており、二人とも苦笑いをしながら、視線を逸らしている。。。
「おい、アルゴぉぉ、ヤヨイぃぃ!!見捨てんのか?」
「済まない、クロウくん」
「こいつはサービスだけど、そいつらのしつこさ……鬼ダヨw」
「「オカシラぁぁ!我らに忍術を!!」」
二人して、ズイ。と近づいてくる。援軍はなし、孤立無援な状況で俺は戦略的に合理的な決断を下した。
瞬間的にUターン。敏捷度をフルパワーで村の向こうへと駆け抜けた。
「「オカシラぁぁ、待つでござるぅぅ」」
「お頭呼ぶなァァ」
アルゴですら振り切れなかったこいつらを果たして俺が振りきれるのか?
自由をかけた逃避行は今、まさに始
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