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真田十勇士
巻ノ九十一 消える風その二

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「よいな」
「さすれば」
 由利も頷いてだ、そしてだった。
 修行を続けた、やはり朝から晩まで修行を行ってだ。彼はある日風魔に対して竜巻を幾つも出して一つ一つを自由に操ったうえで。
 風魔に向けた、そうして言うのだった。
「如何でしょうか」
「うむ、わしもじゃ」
「風魔殿もですか」
「それだけのことは最大のものじゃ」
「最大の術ですか」
「そのうちの一つじゃ、だからな」
 風魔は竜巻達を風の様に、流れる様にかわしつつ由利に話した。
「さらにじゃ」
「この術をですな」
「戦の場で使えばな」
「それで、ですな」
「敵を倒すのじゃ」 
 こう言うのだった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「そしてじゃ」
 風魔はさらに言った。
「わしが今見せた動きもな」
「それもですな」
「出来る様になることじゃ」
「あらゆる攻撃を流れる様にかわす」
「風になるのじゃ」
 風の様にではなかった、風になれというのだ。
「わかったな」
「はい、それでは」
「うむ、これもあと少しで出来る筈じゃ」
 今風魔がした流れる様な動きもというのだ。
「だからな」
「はい、それでは」
「この動きのことも教えよう」
「お願いします」
 こうしてだった、由利は風魔から風になることも教えられた。そうしてそのことを教えられて暫く経ってだった。
 彼の屋敷においてだ、幸村を前にして言われた。
「今までよく修行したな」
「では」
「免許皆伝じゃ」
 風魔はにこりと笑って告げた。
「全て教えた」
「左様ですか」
「うむ、では後はな」
「はい、時が来れば」
「この術を以てな」
「殿をお助けし」
「ことを果たす様にな」
 由利に笑みを浮かべて言うのだった。
「是非共な」
「そうさせて頂きます」
「ではな、わしはここにおる」
 箱根の奥にというのだ。
「もう貴殿等が来ることはないと思うが」
「それでも何かあれば」
「来るといい」
 これが由利の言葉だった。
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