第十四話「城を抜け出した赤い貴公子」
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しみをかみしめた。
「うむ! 久しぶりに食べられてよかった。やはり、つかの間のスイーツタイムは格別だな?」
「そうですね……」
しかし、一夏はそれどころじゃない。そんな彼を見てマリーダがスプーンでアイスを真っ二つに分けだした。
「ほら? 一夏も半分食べろ? このアイスの美味さを実感すれば、そんな顔など吹っ飛ぶぞ?」
「じゃ、じゃあ……」
一夏は、半分こしてくれた自分側の部分を一口巣くってそれを口の中へ運んだ。
「あ! おいしい……! これ、凄い美味いですよ!?」
「だろ? 食べて正解だったじゃないか?」
「はい!」
だが、そんな光景を誤解して監視していた数人の少女らの影が看板の裏から見えた。
「あの女……!」箒
「くやしい〜!」セシリア
「おのれ! ジオンのメスネコォ〜……!」凰
「袖付きめ……!」ラウラ
怒り狂うヒロインたちに気づくことなく一夏は堂々とアイスを頬張った。ちなみに、マリーダはこの気迫に感づいていたものの、下らん嫉妬と誤解だと受け止めて無視することにしたそうだ……
「あ、そういえば……マリーダさん?」
一夏は、今後の予定でふと思ったことがあった。
「どうした?」
「臨海学校……マリーダさんも行くんですか?」
「そうだな……お前たちの滞在期間は、その臨海合宿が終わったまだな? それなら、私も最後の任務として護衛にあたろう」
「そうですか……なんか、身近い間でしたけど凄い寂しいです」
一夏は、ションボリしてマリーダといられる時間をもっと欲した。しかし、そんな彼にマリーダは優しく微笑んでこういう。
「永遠に会えないわけではない。また、会いに行けばいいだけだ。後で私のパソコンのメールアドレスを教えてやろう」
「え! マリーダさんのメル友になってもいいの? 俺」
「構わん。今まで、一番親しく接してくれたのは、お前が初めてだ。一夏だけなら心を許すのも大丈夫だとな?」
「ははは! なんだか……マリーダさんって、姉みたいな感じがして、俺もなんだか親近感がわいちゃうっていうか……」
「姉? 織斑千冬がいるではないか?」
「……」
すると、一夏はその名を聞いてドッと表情を暗くした。
「あの人は……ちょっと、ね? 身内なのは確かですけど、凄い苦手なんです」
「ほぉ……」
――確かに、千冬女史の気配は不愉快さが強いからな……
失礼だが、弟の織斑一夏の詳細な情報も調べているので、この姉弟がどういう関係なのかもわかる。
「マリーダさんは、外見はウチの姉と同じようですけど、中身だけは……心だけは、なんだか好きなんです。正に弟を心配してくれる母性にあふれた姉っていう感じがして」
「一夏……」
「すみません! 変なこと言っちゃって……さて、アイスも食べ終わった事ですし次は何処へ行きますか?」
いつのまにか
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