第十四話「城を抜け出した赤い貴公子」
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ツを着て……
「ゴットン、貴様まで……」
ガトーは、ついに怒ることすら呆れ、それどころか胃痛の限界に達してその場に倒れてしまった。
「しょ、少佐! お気を確かに!?」
マシュマーが抱え起こすと、ほか二人も慌てて駆け寄る。
「どうしたんだい!? 少佐!!」
「お体の具合がよろしゅうないようですな!?」
「もしや……日射病かもしれん! ゴットン! 体を冷やすものを、キャラは冷たい飲み物を持ってくるんだ!」
マシュマーの指示に二人は迅速に求められたものを用意しに向かった。
「ま、マシュマ〜……」
わずかにも、ガトーは力を振り絞って意識を取り戻すが……
「おお! 少佐!! 気が付かれましたか!? 今すぐ治療を行います!!」
「マシュマー! ギンギンに冷えたミネラルウォーター買って来たよ!!」
と、キャラが1リットルのミネラルウォーターが入ったペットボトルを抱えて戻って来た。
「デカしたぞキャラ! さぁ、早く少佐に!?」
「ま、まて! キャラ……」
ガトーは日射病でないことを伝えようと口を開けるが、その口は即座に1リットルのペットボトルとその水にふさがれてしまった。
息苦しくもがくガトーに容赦なく注がれるミネラルウォーター……さらにその勢いは増すことなく、後方からゴットンが荷車を引いてこちらに走ってくるではないか? その荷車の中には大量の氷が山盛りになって敷き詰められていたのだ。
「皆さま〜! 港へ行ったら、大量の氷が手に入りましたよ〜!?」
「おお! ゴットンもよくやった!! よし、最後の仕上げだ!!」
すると、三人はガトーを持ち上げて、荷車に詰められた大量の氷の山へガトーの身体を勢いよく放り込んだのだ。ガトーは、氷の中でスケロク状態であった……
「あ! キャラ、これは水じゃないぞ!? 炭酸水だ!!」
マシュマーは、キャラが買ってきたそのペットボトルが足元に転がり、それを見ろおしてハッとした。さらに、ゴットンの持ってきた氷も、やけに冷気が濃く燃え盛っているではないか。
「ご、ゴットン……もしや、これは『ドライアイス』なのでは?」
顔を青ざめて、マシュマーは恐る恐るドライアイスに上半身をさかさまに埋めるスケロク状態のガトーを今一度見つめた。
「と、時が見えそうだ……」
一時、ガトーは生死の淵をさまよったらしい。
「では、いただくとしよう!」
笑みを浮かべてマリーダは、目の前のアイスを頬張った。
真っ白なジャージ牛のバニラに、甘酸っぱい七種類の果物ソースがたっぷりと、ふんだんに絡められているその光景は正に虹を連想させることで、「アイス・オブ・レインボー」という名前で親しまれている。当店一の人気メニューであり当店一の高額な一品でもある。
「とほほ……」
小遣いが一瞬でアイスに代わってしまったことに、一夏は悲
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