第十四話「城を抜け出した赤い貴公子」
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る。
真っ赤な服を着、派手な仮面をつけた青年である。なにやら、オタク女子に囲まれて戸惑っており、ひたすら写メを撮り続けている。
時期に、勢いが止むと仮面の青年はこちらに気づいて、僕に向かって手招きしてきたのだ。
「よ、呼んでるのか……?」
あまり、関わりたくない雰囲気であったが、一様好奇心ゆえに僕は彼の元へ歩み寄ってしまった……
「君、少しいいかな?」
派手な仮面と真っ赤な衣装をまとった青年が迫ってくる。余計に気まずい……
「は、はい……何ですか?」
「ここが、コミケという場所なのかね?」
「はい、そうですけど……?」
「ほう……?」
初めてだろうか? だとしたら、先ほどの動揺は納得できる。
「……初めて、なんですか?」
「ああ、前々から興味があってな? 『コミケ』、というイベントなのだね?」
「まー……そうですね? ところで、コスプレイヤーの人ですか?」
「コス……? ふむ、周囲が着ている仮装のことを言っているのかい?」
「そうですよ? ほら、あの人とか人気アニメのコスチューム来ているんですけど」
「ほう? あの姿……私にも見覚えがあるぞ? 公国のテレビで見たためしがある」
「公国? ジオンの人ですか?」
「うむ! 私の名は、シャア・アズナブル。御覧のとおり``軍人``さ?」
「……」
――いねーよ、そんな軍人……
僕は心の中でそう地味に突っ込んだ。何処をどう見てもコスプレイヤーだろうが? しかし……こんな姿したアニメ、ゲームキャラは見たことがない。最近出始めたキャラなのだろうか?
だが、軍人と言われてみればその服装はまぎれもなくジオンの軍服そのものだった。真っ赤に彩られていたから一瞬「軍人」と聞いて凄い違和感があったが……
「そ、それで……シャアさんは、コスプレは初めてなんですか?」
「いや、いつもしている故慣れているさ」
「へぇ? じゃあ……」
もう、このへんでいいだろう。僕はそろそろお目当てのコスプレイヤーの撮影にでも向かおうとしたのだが……
「あ、待ちたまえ?」
「は、はい……?」
シャアさんが僕を呼び止めたのだ。
「もしよければ、私にここ一帯を案内してもらえれば助かるのだが……」
「え? 僕が……ですか?」
「いや、強制はさせんよ? 君には君の向かうべき場所があるのだからね?」
「……」
別に、これ言って探している薄本なんてないし、ぶらりとウィンドーショッピング的に回る予定だったっから、特に行きたい場所なんてない。
「……いいですよ? 僕でよければ」
「おお! それは感謝する」
こうして、僕はこの軍人だと自称する真っ赤なシャアさんにコミケを案内することになった。
コミケの会場内は、いつ来ても活気に満ちていて辺り一面同人誌だらけである。シャアは、そんな場所に興味津々であっ
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