第十四話「城を抜け出した赤い貴公子」
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クシズには何かしら「変人」ばかりが集う基地としても有名であった。
*
「ええい! 騒がしいと思えば、MSデッキで何をしている!? キャラ・スーン!!」
肩まで伸ばした青い髪をなびかせた美男子が、大股でMSのドッグへ現れた。彼こそがハマーン・カーンの一番のファン、マシュマー・セロである。彼は目の前で無断発進しようと暴れる赤いMSを目に怒鳴った。
「キャラ様ー! どうかお考えを〜!?」
そんなマシュマーの後からもう一人の男もついてくる。マシュマーの部下でゴットンという男だ。
「MSが私を、私を……ああ、もう気持ちぃ〜! 死んじゃう! 死んじゃうぞぉ〜!」
赤いMS、Rジャジャはそう叫びながら何やら欲情しだす。
「各機、キャラ・スーンの機体を押さえつけろ!?」
マシュマーの命令に、周囲からやや旧式のMSザクVらが飛び出して、キャラが纏うRジャジャを取り押さえた。
「は、離せっー!」
キャラは暴れてジタバタするが、大勢のMSによって伸し掛かられれば、さすがの彼女も降参とくる。
「全く……世話を焼かせおって!」
溜息をつくマシュマーだが、それ以上にため息と共に怒りだすもう一人の士官が現れる。
「貴様らっ! そこで何をしているか!?」
束ねた銀髪を揺らす。険しい表情の士官。その風格は武士を思わす厳つい顔であった。彼の名は、アナベル・ガトー少佐。アクシズに続くもう一つの人工島基地「ソロモン」からこちらへ転属してきたマシュマーたちの指揮官である。
「ソロモンの亡霊」と呼ばれ恐れられた鬼神の彼が、わけあってこのアクシズ基地へと転属されたのだ。
「が、ガトー隊長!?」
厳格な少佐を目にマシュマー一同はピシッとしだした。ガトー少佐の片手には竹刀が握られている。
「マシュマー、ゴットン……今回は何をしでかした?」
と、二人をギロッと睨むガトーに対し、マシュマーは全力で首を横に振りながらRジャジャに指をさした。
「め、滅相もございません! キャラ・スーンがまたしても無断出撃をしだして……」
「そ、そうです! そもそも、なぜこのゴットンめも!?」
二人が必死で全否定する。
「やれやれ……」
再びため息をつくガトーは、ストレスを隠せなかった。これまで、数多くの生真面目な部下たちに恵まれてきた彼が、突如こんなトラブルだけを引き起こす兵士らの隊長となれば、さすがに気が動転しそうになる。
――まぁ……運よく出撃命令が出たのが不幸中の幸いか?
そう、彼らアクシズ第一小隊はハマーンの命令によりある任務が与えられた。
「キャラ! これより出撃するぞ!?」
ガトーが力いっぱい叫んだ。すると……
「何だって!?」
それを聞いた、キャラことRジャジャは、伸し掛かるザクVを怪力を出して振り払うと、機体を解除して、生身の身体を見せた。金髪の赤髪が左
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