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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十四話 和平の可能性
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を叩き上げの両名を司令官にすることで上げようという事か。一石二鳥、悪くない案だ。
「良いだろう、トリューニヒト委員長に相談しよう。だが何故先程言わなかったのかね?」
「貴方の周囲は馬鹿ばかりです、そう言っては委員長閣下も気を悪くするでしょう」
余りの言い様に失笑した。この青年はこれでもトリューニヒトに気を使ったらしい。
「それとヤン准将を昇進させて正規艦隊の司令官にしてください」
「ヤン准将を、しかし」
「次の会戦が終わったらで構いません。適当な理由で彼を中将にしてください」
二階級昇進させろと言うのか……。
「准将、彼は参謀の方が向いているのではないかね」
ヤン・ウェンリーを指揮官? 参謀が向いているとは言えないが、指揮官はもっと向いていないだろう。
私の言葉にヴァレンシュタイン准将は薄らと笑みを浮かべた。
「違いますね、彼は指揮官の方が向いています」
「?」
私は納得できないという表情をしていただろう。ヴァレンシュタインは私の顔を面白そうに見ている。
「ヤン准将は天才です。そうであるが故に彼を部下に持った指揮官は彼を理解できず使いこなせない。参謀としては一番不適格なんです。悪い事にあの人は事務処理が出来ないから周囲はどうしても軽んじる。そしてあの人自身戦争を嫌っている所為か積極的に戦争に取り組もうとしない」
「……」
「彼を本気にさせ、実力を発揮させるには頂点に据えるしかないんです。エル・ファシルがそうです。全権を預ければ奇跡を起こせる……。一個艦隊、百五十万人の命を預ければ、本気になるでしょう。奇跡の(ミラクル)ヤンと呼ばれる日が来ますよ」
なるほど、そういう見方もあるのか……。確かに指揮官として試してみる価値は有るのかもしれない。それにしても随分と詳しい、ヤンの事だけではない、カールセン、モートン、何時の間にそこまで調べたのか……。
「君はヤン准将を高く評価しているのだね」
私の言葉にヴァレンシュタインは頷いた。不思議だった、ヤンとヴァレンシュタインは今一つ上手く行っていないと聞いている。しかし、ヴァレンシュタインのヤンに対する評価は非常に高い。冷徹、そんな言葉が胸に浮かんだ。
「評価しています、ラインハルト・フォン・ミューゼルに対抗できるのは彼だけでしょう。ある程度、武勲を挙げたら総司令部に戻して総参謀長、或いは司令長官にすることです」
ラインハルト・フォン・ミューゼル、ヴァレンシュタインが天才だと評している人物……。
「私には君も天才だと思えるがね」
私の言葉にヴァレンシュタインは微かに頬を歪めた、自嘲か?
「買い被りですね。私はあの二人には到底及びません。自分の力量は自分がよく分かっています」
「しかし……」
会合での君は十分にその才能を我々に見せつ
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