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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十四話 和平の可能性
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宙艦隊司令部の食堂もこれぐらいのサンドイッチを作って欲しいもんだ。

「私とレベロは以前から密かに協力し合う仲だった。君が言ったように同盟は帝国には勝てない、勝てない以上、戦争を続ける事は無益だし危険でもある。何とか帝国との間に和平をと考えているのだ」

最初はレベロとトリューニヒトか……。意外ではあるな、レベロとシトレかと思っていた。シトレが加わったのはアルレスハイムの会戦以降、レベロとトリューニヒトの繋がりはそれ以前から……。この連中はそれなりに本気で和平を考えている、そういう事かな……。

「私が主戦論を唱えた理由は二つある。一つは主戦論を唱える事で軍内部の主戦論者を私の下に引き寄せコントロールすることが目的だった。彼らを野放しにすれば何時暴発するか分からない、それを避けるためだ」

世も末だな、クーデターが怖くてごますりかよ。主戦論者なんて声のでかい阿呆以外の何物でもないだろう。馬鹿で阿呆な軍人などさっさと首にすればいい。最前線に送り込んで物理的に抹殺するか、退役させるか。最前線送りの方がベターだろうな。

まあ遺族年金という出費が発生するが後々面倒が無くて良い。金でケリがつくならその方が楽だ、死人は悪さはしない。惑星カプチェランカに送って全員凍死させてやれ。

「もう一つは主戦論を唱えていた方が和平に賛成したときに周囲に与えるインパクトが大きいと思ったのだ。最も強硬な主戦論者が和平を支持した。戦争よりも和平の方が同盟のためになる、周囲にそう思わせることが出来るだろう」

なるほど、それは有るかもしれないな。問題は自分の役に取り込まれないようにすることだ。主戦論者のまま身動きできないようになったら間抜け以外の何物でもない。

しかし扇動政治家トリューニヒトが和平を考えるか、冗談なら笑えないし、真実ならもっと笑えない。原作ではどうだったのかな、トリューニヒトとレベロは連携していたのか……、トリューニヒトの後はレベロが最高評議会議長になった。他に人が居なかったと言うのも有るだろうが、あえてレベロが貧乏くじを引いたのはトリューニヒトに後事を託されたとも考えられる。いかん、ツナサンドが止まらん。

さて、どうする。連中が俺に和平の件を話すと言う事は俺の帝国人としての知識を利用したいという事が有るだろう。そして和平の実現に力を貸せ、仲間になれという事だ。どうする、受けるか、拒絶か……。レベロ、シトレ、トリューニヒト、信用できるのか、信用してよいのか、一つ間違えば帝国と内通という疑いをかけられるだろう。特に俺は亡命者だ、危険と言える。

「君は先程同盟を帝国に認めさせる、対等の国家関係を築く事は可能だと言っていたね」
「そんな事は言っていませんよ、レベロ委員長。可能性は有ります、少ないですけどねと言ったんです」


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