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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第574話】
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ゃ逃れられない様だ。

 小瓶を開けて中を見る――ラメでも入ってるのかキラキラ輝いている。

 受け取ったスプーンで軽く掬うと蛍光ピンク色をした『ソレ』は糸をひいて陽光の元に姿を現す。

 明らかに体に害しかなさそうな色、高カロリー、栄養素? 必須アミノ酸? なにソレ美味しいの? と言わんばかりソレは主張している。

 俺は、不味くても食べる。

 だが明らかに体を壊しそうな物は拒否したい、理由は体が大事だから。

 だが隣の簪真っ直ぐ俺を見つめていた、世界は残酷だ……時に迫られた選択肢が一択しかない、そんな状況に俺は追い込まれている。

 プルプル震える手、簪の真っ直ぐな眼差しに覚悟を決めた。


「……イタダキマス」


 鏡を見た皆はこう言うだろう――ヒルト、目が死んでない?――と。

 かつてない程の棒読み、俺はソレを口に入れた。

 一気に広がる甘味――否、甘味なんてレベルじゃない。


「ヌァアアアアッ!? な、なあぁぁあああっ!? 甘過ぎ!! うぉぉおおっ……」


 この甘さは体に悪すぎる――だが簪は。


「糖分は、大事……」


 どんなに糖分が大事でも、過剰摂取は毒だ。

 今なお溶けていない砂糖が舌の上でジャリジャリいっている。


「と、糖分は……当分こりごり、だ」

「……ぷふっ!」


 別に笑わせるつもりで言った訳ではないが、簪には受けた様だ。

 彼女の笑いのツボは、多分一夏といい線かもしれない。

 ここで時間が来たのかまた携帯が震えた。


「じ、時間だ……。 じ、じゃあな簪」


 ふらふらしながら俺は屋上を後にした。


「……ヒルトには、甘過ぎたかな。 ぱくっ」


 一口食べる簪――ヒルトが使ったスプーンで食べてる簪。

 その事実に気が付くと、一人静かに頬を染めるのだった。
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