第四章 RE:BIRTH
綺堂唯子
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。有効活用しようじゃないか」
「・・・オイ女」
その言葉とともに、唯子の目隠しが取り払われて、目の前の男が言いました。
今からお前を実験する。
切ったり埋め込んだりするもんじゃない。
ただ、お前は確実に死ぬだろうな。
もし生きられたらみんな解放してやるよ。
それを聞き、唯子は敵意と殺気を込めて、睨みつける。
今まで感じたこともないようなその感情に、自分の目が焼けているんじゃないかと思うほどの怒りが脳を焦がしました。
そして、彼女は別の部屋に放り込まれました。
男の話では、体感時間はとてつもなく長いが実際の時間はそう経たない空間であるらしいのですが、彼女はそれどころではありませんでした。
次々に襲いかかる試練、訓練
拷問ともいえるような特訓、実践
あのクリスタル状の戦士も、死人兵士も、何人も何人も相手にしました。
何度も何度も死にかけ、耐え、勝ち、どんな手を使ってでも生き残ろうとしました。
体感時間が長いだけで肉体へのダメージは実際の時間と一緒に負っていくのですから、それはとんでもない地獄だったのでしょう。
決して彼女は、肉体的に秀でた少女ではありません。
潜在的に何かを秘めているわけでもありません。
そんな少女が、一日を数何カ月ともいえる時間で過ごし、そしてそのダメージを一気に背負って、生きていけるはずなどないのです。
しかし、彼女は耐えきりました。
腕を片方失い、目は潰れ、もう五分も放っておけば死ぬような身体でしたが、その「実験」が済んだ時、彼女は確かに生きていました。
そして、次に気付いた時には、彼女は自分のベッドの上で寝ていたそうです。
腕も、目も、身体の傷は一つ残らず消えていました。
まぎれもない、自分自身の身体でした。
街はいつもの通り。
研究所など、最初からなかったかのよう。
彼女は、満足して日常に帰りました。
そして、蒔風たちが遭遇した事件が起こったのです。
「私は・・・利用されたんですよ。結局彼も、街も、何も救えなかった・・・!!!」
「綺堂さん・・・・・」
その話に、ティアナも長岡もどう声をかけていいか分からなくなる。
結局、彼女が耐えきった実験は何だったのだろうか。すべてが無駄になってしまったのか。
そこで、落ち着くようにと紅茶を注いできた矢車が、唯子に差し出していく。
「飲め。落ち着くぞ」
「ありがとう・・・・」
紅茶に唯子が口をつけ、ほっと一息つく。
考えてみれば、彼女は目覚めてから今
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