暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第四章 RE:BIRTH
綺堂唯子
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
---------------------------------



彼女は調べました。

といっても本当に町の少女一人です。
出来ることは限られています。

彼の跡をつけ、放課後を見張り、研究所に入るまでを観察するだけ。
当然中になどは入れないし、彼も突っぱねてきました。




そして、一年後。
あの事件の数日前に、彼は学校に来なくなりました。




------------------------------------------------------------



「もう止まってなんていられない。私は、研究所に踏みこみました」

「踏み込んだ!?」

「といっても、入口から5メートルのところで捕まりましたけどね」




そうして、彼女が知ったのはこの研究所の実態でした。




研究され、開発されていく兵器
身体をいじくられる人体
吐き気を催すような形をした「何か」


その先で、唯子は彼を見つけました。



今までの彼とは思えないような、虚ろな目。
だらりと下がった両腕、立っているのに、浮いているような感じな見た目。



到底普通ではない状況でした。




そして、連れて行かれる彼女は、そのまま青年の目の前に連れて行かれました。



声をかけました。
体をゆすりました。
腕を引っ張りました。
全身で抱き締めました。



しかし、青年は一切反応することはなかったのです。



『幼馴染というその女に反応するかの実験ですが、何事もなかったようですね』

『安定してます。大丈夫でしょう』

『ではあの女を処分しなさい』

「!?」



唯子に聞こえていることを十分知っているだろうに、平気でそんな事を話す男たち。

逃げだそうとする唯子だが、押し入ってきた男たちに取り押さえられる。



目隠しをされ、手を縛られ、どこかに連れて行かれる途中で、彼女の耳にこんな声が聞こえてきた。





―――この街にはもう必要なものはないな

―――明日にでも焼き払っておくんだろ?問題ねぇよ

―――ああ、あの男の性能を試す実験でもあるみたいだけどな






それを聞いて、彼女は死の淵にありながらも力の限り叫びました。



「街には何もしないで!!何でもするから!!みんなを殺さないで!!」



もちろん、そんな叫びなど聞き入れてもらえるはずがありません。

しかし



「確か、一つやり残した実験があるしょう」

「え?ああ、だけどあれは被験者が耐えられるもんじゃないぜ?」

「どうせ死ぬ女
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ