第四章 RE:BIRTH
綺堂唯子
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増えましたが、研究所の人たちが作ってくれた道具ですぐにつかまりました。
捕まった彼らは研究所での手伝いをさせられ、しだいに街の警察のようになってきました。
そうして十年と少しが経ち、彼女が小学校の高学年になった頃。
彼女の学校に研究所の人がやってきて、同じクラスの男の子を一人、研究所に呼びました。
このころすでに「研究所の人たち」と言えば街の平和を守るヒーローだったので、男の子たちはその子を羨ましがりました。
「オレ、かっこいいヒーローになるんだぜ!!」
彼とは隣の家だったので、彼女は男の子からよくそんな話を聞きました。
それからも彼は研究所に通い続け、そうして八年もの時間が過ぎました。
彼女と彼はその間も、男女間が離れていくという年になってもたまには一緒に遊んでいました。
本人たちは腐れ縁と言ってますが、いわゆる「幼馴染」でした。
そしてそのお話の中で、彼がたまに研究所の中での話をしてくれるのです。
「本当は極秘だって言われてんだけどな」
そう言って話してくれる彼は本当に楽しそうです。
誰にも言ってはいけない秘密を知っている楽しさと、それを話してしまうというタブーを踏むのが楽しい年頃なのでしょう。
そして彼女もまた、その話を聞くのが楽しいと感じていました。
「ね、あそこで何やってるの?昔ヒーローになるとか言ってたけど」
「ん?今でも変わらねーよ。俺はあそこでヒーローになるんだ」
「じゃあピンチになったら助けにきてよね」
「うちの道場で稽古してんだから自分でどーにかしろ」
「ちょっと、レディーのピンチに駆けつけるのがヒーローでしょ?」
「レディーがいればな」
「ムカッ・・・まあ?あんたに助けられるほど弱くないしね、私」
「小学三年生に一本取られる高校三年生が何を言う」
「うるさい(ぽか)」
「アテ」
しかし、一年前のある日。
研究所から帰ってきた彼はいつもと様子が違っていました。
顔は強張り、口は固く閉じられ、拳は握りしめられていました。
「もう来るな」
そう一言だけ言って、彼との話は終わりました。
しかし
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「だからと言って、言うとおりになんかできませんよ」
「だから・・・調べた?」
「街の小娘の・・・無駄な抵抗でしたけど」
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