第四章 RE:BIRTH
外道技術
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ただろう。
「おい・・・あの人たちを元に戻せ!!」
「無駄だな。もうああなればただの兵器だ。単体ずつに取り分けるのは無理だ」
「テメェ・・・・・!!!」
ドンッッ!!
男に怒りを向ける蒔風だが、巨人の攻撃は蒔風たち五人を的確に狙っている。
大きな体ゆえの死角がないのだ。
どういうわけか、この巨人は背後を飛ぶキャロにも、脇の下に攻撃を仕掛けようとするキックホッパーにも気づいていた。
そのことを影山が疑問に思っていると、目の前の肉が動いた。
巨人に取り込まれた人の、それぞれの顔。
その顔にある目が、一斉にギョロリと開いたのだ。
そのおぞましい姿に、皆が目を見開く。
キャロは叫び声も上がらず、強く歯をかみしめた。
「必死だねェ。翼人はこんな物かい?」
「黙れ!!」
少女をそこらへんに置くわけにもいかず、蒔風が左手で抱えながら、男を右腕で殴ろうと突っかかった。
しかし、男はそれをひらりと回避して少女を指さして笑う。
「その女を抱えたままじゃ、俺に勝てんだろ!?はは、厄介だねェ。まさかあれも人だから殺せないとか思ってんじゃないか!?何度も言うが、あれは人じゃねェよ!!」
「・・・どういうことだ」
「そのまんまの意味だ。なにもオレの感性が、人を人と見ないからってわけじゃねェ。あれはホントにモノなんだっつの!!」
男が言う。
あれは本当に人ではない、と。
だったらロボットか?
いや、それはない。
街中で見たあの姿は、動きは、明らかに人間の物だ。
とてもではないが、命のないモノの動きとは思えない。
しかし、男はそれを聞いて馬鹿にした笑いをした。
「脳味噌の中身ってのは電気信号の塊よ。じゃあもし「死体の脳みそいじってそれをもとに動く」ように改造したら、どうだ!?」
その言葉に、目を見開いた。
この住人達は、すでに死人。
街中で動いていたのも、祭りではしゃいでいたのも、すべて。
問われれば答える。
動けば反応する。
しかしそれは脳と体に残った、生前の電気信号データをもとに構築されたプログラムで動くだけのものだ。
だから同じ問い掛けや反応には、同じようにしか動けない、反応しない。
死後すぐの死体をもとにし、さらにその記憶をもとに行動を設定しているなら、気配があっても当然だ。
しかもデータは、死んだ直後にいじらなければ失われる。
つまりこいつらは、この街の住人が死にいたるその瞬間まで待機していたのだ。
否、むしろそれよりも、この街を壊滅させたのがこいつらだったとしたら?
あの通報の電話は、決して日常の一風景ではなかったのだ。
非日常からの、助けを求める声だったのだ。
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