第四章 RE:BIRTH
レッツフィスティボー!!
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も思えるようなメットをかぶり、それと一体になっているバイザーが目元を覆い隠している。
その男は、炎の中に立っている。燃えているのは様々なモノだ。
家、車、道路、木、空
そして、人
それらのモノにはすべて「だった」という過去形を用いるのが適切であろう。
家だった、車だった、道路だった、木だった、空だった
人だった
今や何が燃えているかもわからないし、その炎でもはや臭いも何も感じない。
だが、その青年はその熱すらも感じていないかのように、燃えた街並みを機械的に進み、その先に何があろうとも越えれるなら踏み越え、邪魔なら破壊して進んでいった。
「上質ですね。やっとここまで来ました」
「はい。ここまでの成果は初めてになりますね」
その町から少し離れた安全圏で、一人の丁寧な物腰な男と、その後ろにつく研究員のような女性がそう言った言葉を交わしている。
「いままで、多くの先人達が夢破れてきたことが、ついに実現するんですね!!」
「そうです。これこそが私がご先祖から受け継いできた夢なのです」
「じゃあ、今日はここら辺でやめておきましょう。下手に暴走しても困りますし・・・・ウぐっ!?」
そう言って手元のコンソールを操作し、街を歩く青年を止めようとする女性だが、その声が詰まった。
原因はさっきまで話していた男である。
女性の何に反応したのか、男の右腕が女性の頬を左右からつかみ、口を変な形に歪ませていたからだ。
「私と、私のご先祖がここまで培ってきたものが今更暴走するとでもあなたは言うんですか?」
「ひ、ひえ!!そういうわけへは!!!」
ゴキン
そんな重そうで、それでいて小さな音だけがその場に聞こえた。
「変な方向に曲がった首」という新しい特徴を得た女性の身体が、生命の反応を失いその場に崩れ落ちた。
「回収し、他の実験の素体にでもしなさい」
「はっ」
そういうと別の人間が現れ、その死体を回収していく。
「・・・・ん、ああ。今は一人にしておいて」
誰ともなくそう男が言う。
その右手はゴキゴキと骨を鳴らしており、今すぐにでも何かを握りつぶしたい、と訴えているかのように見えた。
それは目の前の「実験」がうまくいっているからか、気に食わないことがあったからなのか
おそらく、どっちでもいいのだろう。
否、この男はどっちでも同じことをしていただろう。
結局、最終的にこの街の原型がなくなったところまでいってからやっと男は青年を止めた。
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