育め、冒険者学園
第十二話
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「単純よな。斯様な幼稚な真似でワシ等がどうこうなるなど、本気で思っておるのか?」
生徒は一人の影もなく、授業を拒否するようだ。
「じゃ、全員欠席っと。…んあ、お客さま?」
「うむ?」
出席簿に欠席を書き込んでいると、ドアの隙間から覗き込む二対の眼。気配の消し方が手馴れていて上手い…、三年生か。
「速攻ばれたでウチ等の気配遮断!ホンマに本物やん!」
「失礼でしょ!!…スイマセン、連れが非礼を…」
「問題ないよ、暇だし」
「かかっ!学生の身であれば、その技術は中々よ。存分に励むがよかろ」
マオが褒めるだけあって、その生徒二人、女子生徒達の腕に偽り無し、ダンジョンの浅い階層なら問題ない。
「にしても、後輩君立派になったなぁ。ウチ見直したわ!」
「『玲奈(れな)!』」
「『絵里(えり)』、やってヨーンやで?人工島十指の実力者に最年少で数えられる、雑誌とかでも話題のヨーンや。信じられへん、あの後輩君がなぁ…」
「世話になっておったのかヨーン?」
知り合いなのかとマオに見られる。やけに親しげな玲奈と呼ばれた生徒達に関して、『僕』はさっぱりだが、『残滓』なら知っているだろうと、記憶を引っ張り出してみる。…はっ!
「……あの日。僕が素うどん(200円)を啜っていた前で、贅沢に『DX天ぷらうどん(1080円)』を食べて見せたあの…!」
「そーそー、後輩君羨ましそうやった…って違う!ウチそんな事してへん!第一ウチはかき揚げ派や!」
「反論が別なような気がするのだけれど?」
あ、間違えた。これ彼氏君だった。……あーあー!
「以前は丁寧に指導してもらいました、先輩!」
「それや!もー、後輩君ビックリしたで」
「玲奈ならやりかねそうだから何も言えないのよね。…改めて久し振りね、楠君。アナタが冒険者になってるなんて」
過日に目を細める絵里こと、『氷雨絵里(ひさめえり)』先輩。元の『僕』が度々稽古を付けてもらっていた才女。隣の『竜見玲奈(たつみれな)』先輩も、よく面倒を見てくれた。
昔の僕は、澪と同じ進路に進みたいと、周りに相談したりして、生徒会だった絵里先輩達に可愛がってもらっていたようだ。
「先輩には感謝しています。こうやって冒険者として活動していられるのも、先輩達にお世話になったからです」
「後輩君、肩肘張らんでええて。気楽にいこ」
「玲奈ではないけど、素で良いわ。今はアナタが指導者で、我々が生徒だもの」
先輩達に言われ、普段の口調で疑問を投げる。
「なら先輩達、何故僕等を覗き見てたの?」
「そうじゃな。三年生はレギオスが授業中じゃ、抜け出したりしてはおらぬな?」
「お墨付き貰ったんや。『好きにしていい』って」
「昨日の授業中で教えることはないと言われ、全て出席
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