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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十二話 予感
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ようだが、俺は好きで残業しているんだ、付き合うことは無い。
残業は苦にならないんだが、問題は夕食だ。家に帰ってから作って食べるのは面倒だ、だが何処かで食べるのもな、俺は食が細いから外で食べるのはちょっと気後れする、量が多いのだ。何処かでサンドイッチでも買って帰るか……。
宇宙艦隊総司令部を出て家に向かって歩き出すと目の前に地上車が止まった。一瞬ロボスとかフォークが逆恨みして襲い掛かってくるのかと思って身構えたがそうではなかった。
「ヴァレンシュタイン准将、乗りたまえ」
ドアが開くと中から声が聞こえた。独特の低く渋い声だ。ごく自然に他人に命令することになれた声でもある。誰が乗っているかはすぐに分かった。断るわけにもいかない。今日はどうやら夕食抜きらしい。
「失礼します」
そう言うと車に乗った。中には初老の男性が一人乗っている。黒人、大きな口と頑丈そうな顎、シドニー・シトレ統合作戦本部長だった。ドアが閉まり車が動き出す。
「これから或る所に行く。話はそこに着いてからにしよう」
「分かりました」
或る所か、そこに誰が居るかだな。おそらくは先日の宇宙艦隊司令長官の件が話されるはずだ。シトレが人事問題を相談する人物……、さて、誰か……。
車はハイネセンでも郊外の割と静かな地域に向かっているのが分かった。小一時間程走っただろう、一軒の大きな家、いや屋敷の前に止まった。降りるのかと思ったが、シトレは何も言わない。と言うより俺が車に乗ってから一言も喋らない。感じの悪い男だ。
屋敷の門が開いた。地上車がそのまま中に入る。夜目にも瀟洒な建物が見えてきた。だが建物の周囲には警備する人間の姿が有る。軍服は着ていないが動きがきびきびしているところを見ると年寄りのガードマンと言う訳じゃない。それなりに訓練された人間達だ。
シトレが車を降りて建物の中に入った、俺もその後に続く。警備兵は咎めなかった、ボディチェックもしない。こちらを信用しているという事だろう。或いはそう見せているだけか……。
屋敷に入って思った。不思議な屋敷だ、どうみても綺麗すぎるし生活感があまり感じられない。普段は人が住んでいないのかもしれない。或いはここ最近人が住み始めたか……。正面に大きなドアが見える。招待者はあの中か……。
シトレがドアを開けて中に入った、その後を俺が入る。
「やあ、よく来てくれたね。ヴァレンシュタイン准将」
愛想の良い声だった。声の主に視線を向けると声同様愛想の良い笑顔が有った。誠意など欠片もない愛想の良い笑顔だ。
「お招き、有難うございます。トリューニヒト国防委員長」
トリューニヒトは部屋の中央に有るテーブルの椅子に座っていた。テーブルにはサンドイッチ等の軽食が置いてある。シトレが目で俺を促した、そしてテーブルに近づき席
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