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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
15.再び
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んで逃げようにも先ほど飛行のせいで滞空時間がなく翅は一旦使えない。
 せめて翅が回復するまでの時間を稼いで逃げなくてはならない。

「悪いがこっちも任務だからな。金とアイテムを置いていけば見逃す」

 中央のリーダー格の男が落ち着いた声で言うのに対して、

「何、紳士ぶってんだよカゲムネ」

「女、相手なんてチョー久しぶりじゃん! 殺しちゃおうぜ」

 他の二人は暴力に満ちた狂気の目をしていた。
 こういうゲームで女性プレイヤーを狙ってPKするプレイヤーは少なくない。戦闘以外での無闇な体への接触はハラスメントコードに引っかかる。だからこそ、こういう戦闘で女性プレイヤーを狙って快楽を得ている連中がいる。
 リーファは両足でしっかりと踏みしめて愛刀の長剣を大上段の構え、サラマンダーたちを睨みつける。

「あと一人は絶対に道連れにするわ。デスペナルティの惜しくない人からかかってきなさい!!」

「気の強い子だな。……仕方ない」

 三人が一斉にこちらに巨大な槍を向ける。
 長剣でどこまでいけるかはわからないけど、最後まで諦めない。
 いつ攻撃されてもおかしくない。
 そんな沈黙と緊張感がこの場を支配する。
 だが、沈黙を破ったのは、サラマンダー槍でも、こちらの長剣でもなかった。

「うわぁぁぁ!! ちょっとそこの赤いの退いてぇぇ!!」

 そんな情けない声とともに木々がガサガサと揺れる音がしたと思ったら黒い影がサラマンダーの一人目掛けて突進してくる。唐突のことに反応できなかったのかそのサラマンダーもろとも黒い影は木へと衝突する。

「うっ……あっ……! ようやく止まれた」

 黒い影の正体はプレイヤーだ。黒髪の短髪、どこか気怠そうな細い目。背中に初期装備の片手剣と見たこともない長い槍を背負い、黒色の初期の服装の少年。背中の漆黒の翅。それが彼をインプだと教える。装備を見る限り初心者のようだ。しかし、初心者にしてはあの背中に背負っている槍に違和感を覚える。
 あんな武器は今までプレイして来た中で見たことがない。
 少年は立ち上がると呑気に首をほぐしている。

「なにしてるの早く逃げて!!」

 この場に初心者がくるなど奴らにとっては絶好の的でしかない。
 だが少年はまるでリーファの言葉でも聞こえてないように辺りをキョロキョロしている。まさか多種間キルを知らないというのか。

「重戦士三人で……って、あれ一人減った?」

 リーファは驚いた。まるでこの少年はあの侵入して来た一瞬で人数まで把握できたというのだろうか。
 どこまで異常な動体視力をしているのだろうか。

「痛ぇじゃねぇか!!」

 すると先ほど吹き飛ばされたサラマンダーが叫び声を上げながら少年の背後めがけて突進する。
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