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真田十勇士
巻ノ九十 風魔小太郎その八

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「すぐに終わりそうじゃな」
「そうですか」
「そう思った、ではな」
「はい、今宵は」
「修行に励もうぞ」
「宜しくお願い申す」
「食った後でな」100
 こう話してだった、二人は幸村も交えて食うものをその場で手に入れて火も起こし焼いて食った。それからすぐにだった。
 風魔と由利は山の中を駆け巡り共に風に手裏剣そして鎖鎌を繰り出し合う修行に入った。その中でだった。
 風魔は手裏剣、風魔一族の独特の手裏剣を山の中を駆けつつ由利に投げた。だがその手裏剣をだった。
 由利は鎖鎌の鎌のところで打ち返した、それを見て言った。
「わしの手裏剣をそうして防ぐとはな」
「いや、危ういところでした」
「それだけでも凄い」
 こう言うのだった。
「まことにのう」
「そうですか」
「うむ、しかしな」
 風魔はさらにだった、何かを投げた。それは。
 気の刃だった、それはだった。
 由利はかわした、風魔は由利が駆けながらも身体を動かしてかわしたのを見て笑みを浮かべて言った。
「それでよう」
「飛んで来るものは手裏剣とは限らないですな」
「矢の場合もあればじゃ」
「弾き返せぬものもありますな」
「そうじゃ、だからそこを見極めるのじゃ」
「相手の気配、そして戦の場の状況から」
「風を見るのじゃ」
 風魔は由利にこうも言った。
「貴殿、どうやら草木の声が聞けるな」
「おわかりですか」
「動きを見てわかった」
 このことがというのだ。
「そうとしか思えぬ動きがまま見られた」
「そこからおわかりとは」
「ははは、わしも風魔の棟梁じゃった者じゃ」 
 東国一と言われた忍達のというのだ。
「だからな」
「それがしの動きから」
「わかった、草木の声を聞きじゃ」
「風を見て」
「そして動けばじゃ」
「来るものが何かを見極めることが出来」
「風もじゃ」
 それ自体もというのだ。
「万全にじゃ」
「使いこなせる様になる」
「風を使うには鎌ィ足を出すだけではあるまい」
「はい、こうして」
 ここでだ、由利は。
 風魔と共に駆けつつ左手、鎌を持っているそちらを思い切り振った。すると人の大きさ程の竜巻を出して前に飛ばした。
 その竜巻を出してからだ、風魔にあらためて話した。
「竜巻を出すこともですな」
「そうじゃ、そして多くの鎌ィ足や竜巻を出してじゃ」
「戦に使うことも」
「そのうちの一つじゃ、そしてじゃ」
「さらにですな」
「多くの術を使える様になる」
 風の術、それを極めればというのだ。
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