暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
14.許された過去
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 開始の合図とともに集也は直葉との距離を一気に詰める。低い姿勢から右手に持っていた竹刀を下から勢いよく振り上げる。一瞬驚いたような感覚が伝わってくる。しかし、直葉は反射的にそれを交わす。

「てぇぇっ!!」

 何も持っていない左小手めがけて竹刀が振り下ろされる。あたる寸前で左手を大きく横にないで回避する。そこから右手一本の集也の竹刀を面めがけて振り下ろす。だが、首を捻って避けられる。
 そこから直葉の雰囲気がガラッと変わる。
 まるで今までのことが嘘のように猛攻を繰り広げてくる。だが、それを集也は躱し、受け止め、反撃を試みる。
 しかしやはり相手は直葉。一筋縄ではいかない。むしろ猛攻を防ぐだけでも精一杯なほどだ。
 面の奥に見える彼女の瞳は本気そのものだった。一瞬でも気を抜けば、ダメージを受けてもおかしくない。
 ───ならば……
 集也は直葉との距離詰める。強引な鍔迫り合いに持ち込むが、足腰の鍛え上げられられた直葉の圧力にわずかにぐらついた。そこを狙って直葉は引き面を一発かましてくる。

「めぇぇぇぇぇん!!」

 それを待っていた。集也は右足を軸に無理やり身体を横向きへと体位を変える。確実に決める気でいた直葉は呆気に取られているが振り下ろされた竹刀は止まらない。
 腰をわずかに落として軸としていた足にありったけの力を込めて床を蹴り上げる。右手に持っていた竹刀を後方へと投げ、空の左の指を動かしてメニューウインドウを開き、思いっきり殴りつける。そして右腕に光が灯る前に低い重心のまま一気に突進する。

 手刀上位剣技《太刀───

「いてぇぇッ!!」

 ソードスキルの前に右腕に猛烈な痛みが走った。あまりの痛みに集也はその場で悶え、倒れる。

「だ、大丈夫、集也くん!!」

 直葉がとても慌てふためいている。
「こ、氷で冷やさないと!」「あと、タオルも」「えーっと、他には……」などと集也の腕を押さえながら首をキョロキョロさせている。

「お、落ち着け、スグ。そんな大したことじゃねぇからさ」

 まだ痛む手を押さえて立ち上がると、

「そ、そうだ。外の蛇口で!」

 いまだ慌てている直葉は集也の手を握ると防具もつけたまま外へと連れ出す。
 この慌てようじゃ誰が怪我したかわからないくらいだな。外の蛇口で真っ赤に染まる右手を水で冷やす。冬の時期ということもあり、とんどもなく冷たい。だが、赤くなった手を冷ますにはちょうどいいくらいだ。

「なんとなくやる気はしていたが、まさか本当にやるとは思わなかったな」

 和人が半ニヤケで道場から現れる。

「なら忠告くらいはしてほしかった」

 集也は和人を睨む。だが、自業自得だと言わんばかりの表情をされると何も言い返せない。
 
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