この素晴らしい錬金術で祝福を! 2
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「私は絶対に会いませんよ」
「そこら辺は任せるさ。まっ、話を戻そうか。神だろうが力が強いだけの存在だ。強者なんだから理不尽に振る舞えばいいさ。油断している内に足を引っ張って転がしてその間にのし上がるからな。人間は弱いけど、油断ならない存在だ。神々に喧嘩を売って滅ぼしまではしなくとも勝利しているものはいる。オレ達みたいな錬金術師はよくよく喧嘩を売ってるだろう?この世は弱肉強食なんだ。だから、気に病むな。オレはオレで楽しんでいる」
「嘘ですよね。だって、懐かしんで悲しんでいる」
「悲しい=不幸ではない。色々な刺激があるからこそ人生ってのは楽しいんだ。オレより年齢は上なんだろうが、濃い人生を歩んでいるオレから見れば神々なんて子供だ。与えられた役割をただこなすだけの神生なんてくだらないんだろう?」
「それは、その」
「まあ、それでも気になるっていうのなら酒に付き合え。こっちの世界には静かなバーがなくてこうやってアトリエで飲んでるんだが、誰も傍にいないってのはそれはそれで寂しいものでな」
「酒場ならいくらでもありますよね?」
「酒を飲むって言っても色々な楽しみ方があるってことだ。ワイワイ騒ぐのもいいが、静かにゆったりとした時間の中で飲む酒っていうのが性にあってるんでな」
お酒に付き合うのは決定事項なのかグラスが用意される。諦めて椅子を引っ張ってきて対面に座る。
「ほれ、飲みやすい酒だから」
「ありがとうございます」
彼の言うとおり、甘めで飲みやすいお酒だった。
「これも錬金術で?」
「再現してみただけだ。アーランドではよく飲んでたやつだ」
「思い出のお酒ですか」
「まあ、そんなもんだ」
そこからはほとんど無言の時間が続く。たまにお酒をグラスに注ぐ音、グラスを置く音、氷とグラスがぶつかる音。彼は私の方を見ずに月だけを眺めている。目の前に女神が居るって言うのにと本来なら怒る所なのでしょうが、何も言えずにちびちびとお酒を飲むだけでした。
ふと、強烈な吐き気と頭痛に目が覚める。ベッドから床に落ちて頭を打つ。
「あ、頭が割れる」
一体何が、と言うかここは、クリスの部屋?現状が把握できずに居るとドアがノックされる。
「起きたようだな。ほれ、黒の香茶と経口飲料水だ」
手渡された黒の香茶を何とか飲み終えればベッドから落ちて頭をぶつけた分以外の痛みと吐き気が消え去る。それから経口飲料水を飲み終える頃にはようやく周りを見るだけの余裕が生まれた。
「説明するなら二日酔いだな。昨夜は大変だったぞ。急に倒れたと思ったら寝てるし、ベッドに運んでいる途中で吐くし、寝かしつけてしばらくしてから嫌な予感がして部屋を覗いたら寝ゲロで死にかけてるし」
「わ〜〜
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