この素晴らしい錬金術で祝福を! 2
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
戻ってきたカズマ君たちに装備と金と簡単な町の地図を渡して激励する。カエル程度ならクラフトで大丈夫だと説明しておいたからなんとかなるだろう。
深夜に目が覚めて、喉の渇きを覚えて1階のリビングに降りる。水を飲んでベッドに戻ろうとした所で氷が溶けてグラスに当たる音が聞こえる。店側を覗いてみると窓際でユキトが珍しくお酒を飲んでいた。
「珍しいね、お酒を飲んでるなんて」
「うん?クリスか。ちょっとな」
それだけを言うとまた月を見ながらグラスを傾ける。ダクネスを迎えに行ってきてから少し様子がおかしかった。
「何かあったの?」
「ああ、そうだな、うん、軽いホームシックかな?転生者に会ってな、もう50年以上昔の話なのに色々と覚えているものだ。懐かしさに少しな」
「家族は?」
「5人家族でな、父と母、兄貴と妹とオレ。普通の一般家庭だ。死因は釣りをしている時に何かに引っ掛けて引きずり込まれた。死体が残ったのかすら分からん。気づけばアーランドで赤ん坊だ。そっから50数年、また死んでこっちに来て、すっかり忘れていたんだけどな。少しだけ思い出しちまった」
「……帰りたい?」
「いいや、アーランドに生まれ落ちてしばらくしてから帰りたいって思いだけは完全に断ち切った。盗賊とは言え、人を殺めて、それが罪にならなかった時点で帰るのは諦めた。帰っても世間に馴染めないだろうと思ってな。だけど、今更になって家族がどうなったのか、それぐらいは知りたいと思っちまった。今の今まで忘れ去っていたくせにな」
そう言ってまたグラスを傾けながら月を見ている。私達の不甲斐なさが彼らのような存在を生み出してしまっていることに心が痛くなる。だけど、私達も必死なのだ。それに、謝って済む話でもない。だからといって何もしないのは悪いとも思ってしまう。
「気にするな。この世界に来た時から流れに身を任せると決めている。あとは、オレの腕次第だ。人生は出たとこ勝負。全知全能な者など存在しない。神だろうが、力が強いだけの存在だ。しかも万能じゃない。エリス教の神、エリスもパッドで底上げしてるって話だしな」
「誰がそんなことを!?」
だから心の中があまり平静じゃない状態で挑発されてしまい、それに乗ってしまう。クリスを通して見ていて、咄嗟に反応してしまった。
「ほれ、そんな簡単に挑発に乗る」
「あぅ」
「ってことは、あのアクアってのも本物の女神か。神としての威厳が全く感じなかったが術式で押さえられてるんだろうな。羽衣だけは恐ろしいぐらいに神秘を纏ってるから分かりやすかったが」
「アクアって、まさかアクア先輩が来てるんですか!?」
「うん?ああ、カズマ君を怒らせて転生特典として道連れにしたって聞いてるが」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ