第四話 INグレンダン(その2)
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間が短すぎるのが一つ、という訳で顔も名前も思い出せないでいる。
『エルスマウ・キュアンティス・フォーアと申します。いきなりですが陛下が王宮に来るようにとおっしゃってます」
「えっと、悪い予感しかしないんですが行かなきゃダメですか?」
『あの』陛下からの呼び出しで良い予感を持つ事など天剣や三王家などグレンダンの中枢に関わる者の中にはいない。その理由は何か面倒ごとに巻き込まれるのが必須だというこれまでの行動が全てである。
『必ず、とおっしゃってます。逃げた場合はリンテンス様に追わせるそうです』
リンテンスを動かす事にかなりの本気を感じるし、またこれからの自分の行動を考えればどのみち避けては通れない場所と相手である。とはいえ楽しい気分で降り立ったのが最前の事であるのに、そんな気分ではとてもいられず重い足取りで王宮へ向かう。
目指す相手はお気に入りの空中庭園で寝そべっているのかと思いきやまともに謁見の間にいた。が、それが一層悪い予感を掻き立てる。
「お帰りークララ。それでクララってさ、玉座狙ってるでしょ?」
挨拶もそこそこに、どころか自分が口を開く前に相手の方から普通ならば際どいと感じられる質問が飛んでくる。
「ええ、そうですけどそれがどうかしましたか?」
とはいえ互いに承知の事なので平然とクララも返す。そもそも誰かのように暗殺といった非合法手段ではなく正規の手段で狙っているのだから疚しいところなど無い。
ただ相手の意図が読み取れないので不審に感じ、不安を覚えるだけだ。
「あんたを『女王代理』に任命するわ」
「はいぃっ?!」
全く予想できないことに思わず頓狂な声をあげてしまう。
「さっすがクララ、じゃあお願いね。エルスマウ」
『はい、関係各所への通達ですね、承知しました』
呆気にとられている間に事態が急展開で進んでいく様子に我に返ると大急ぎで止めに入る。
「ちょっと待ってください、何が何だかわからないのに勝手に話を進めないでください。そもそも何でこんな事言い出したんですか?」
自身に都合のよい答え(実際にはそうではないが)を得て上機嫌なアルシェイラを全力で引き留める。このままでは何が何だか解らないうちに重大な事が決定されようとしている、という事だけが判っている。
「だから、あんたが実際になる前の予行演習だとでも思っておけばいいわ。いきなり全部とは言わないから……、文句ある?」
形式は疑問形だがもはや決定事項のように語られる『それ』に基本的に不満など無い、……のだがアルシェイラの回答では触れられていない部分がありそれが不満というか不安なのだ。
「だから、なんでいきなりそんなことを、それも私が……何ですか?」
「だってカナリスが死んじゃったから私が全部政務をこなさなきゃいけなくて、ゆっくりする暇もないから
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