巻ノ九十 風魔小太郎その六
[8]前話 [2]次話
「それがし達は流罪の身」
「そして我等は隠遁の身」
「左様ですな」
「まさにのう、しかし」
「はい、実はです」
強い声でだ、幸村は風魔に言った。
「それがし思うところがありまして」
「それは」
「おわかりだと思いますが」
「ふむ」
確かな声を出してだ、風魔は。
幸村のその目を見てだ、こう言った。
「そういうことか」
「おわかりですね」
「それではな」
「これより」
「案内到そう」
風魔はまた言った。
「これよりな」
「そしてですな」
「そのうえでじゃ」
まさにというのだ。
「じっくりと話をしよう」
「是非」
「これより」
「そうしてな」
「あらためてですな」
「修行としようぞ」
こう話してだった、風魔は実際に幸村主従をある場所に歩いて案内した。その時に周りの声だけだった者達も姿を現した。
そのうえでだった、彼等は箱根のさらに奥にある集落に着いた。その二十軒程の木の家がある集落に案内してだった。
風魔は笑ってだ、幸村達に言った。
「ここがじゃあ」
「今の風魔殿のおられる場所ですか」
「そうじゃ」
笑って言うのだった。
「ここがな」
「そうですか」
「そしてここにいてな」
「過ごされていますか」
「もうここから出るつもりはない」
風魔は幸村に笑ってこうも言った。
「ずっとな」
「そうなのですか」
「北条様も今では我等を召抱えられrぬ様になった」
「だからですか」
「北条様以外にお仕えするつもりもない」
それ故にというのだ。
「だからな」
「ここより出られず」
「死ぬつもりであったが」
「それがですか」
「思わぬ客人じゃな」
幸村達を見てだ、風魔は笑って言った。
「全く、夢にも思わなかったわ」
「そうですか、やはり」
「うむ、しかしな」
「それでもですか」
「よく来られた」
こうも言うのだった、幸村達に。
「ではな」
「はい、これよりお願い申す」
「わしの術でよければな」
「鎌之助に」
「是非共」
由利も風魔に言ってきた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ