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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十話 司令長官
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ず帝国軍は混乱、攻勢をかけるチャンスだ」
ワイドボーン准将が興奮したように声を出しました。周囲もその興奮に同調する中、ヴァレンシュタイン准将だけが冷静でした。
「一、二度は勝てるでしょう、でもその後は最悪でしょうね」
「?」
「帝国は強力な司令長官を任命するはずです」
ワイドボーン准将とヤン准将が顔を見合わせています。
「ミュッケンベルガー元帥が復帰する、そういう事かな?」
問いかけたヤン准将にヴァレンシュタイン准将が笑みを浮かべました。
「違いますよ、ヤン准将。オフレッサーが宇宙艦隊司令長官になる、そう言っているんです」
「!」
その瞬間に部屋の空気が固まりました。クスクスと准将の笑い声だけが聞こえます。
「な、何を言っている。オフレッサーは地上戦が主体だろう、宇宙艦隊司令長官など……」
「総参謀長にはラインハルト・フォン・ミューゼルが就きます。それでも無理ですか、ワイドボーン准将」
「……」
「しかし、そんな事が」
「地上戦でも宇宙空間でも戦争をしていることには変わりはありません。別な何かをしているわけじゃないんです。オフレッサーは軍人ですよ、自分が何をするべきかは分かっている」
「……」
准将が笑うのを止めました。
「敵を叩き潰す、ミューゼル少将に作戦を立案させ各艦隊司令官にその作戦を実行させる、難しいことじゃない……」
「……」
部屋が静まり返りました。准将のいう事は分かりますが私にはどうしても納得いかないことが有ります。
「准将、周囲の提督達はどうでしょう。素直に命令に従うんでしょうか?」
私の問いかけに何人かが頷きました。そうです、いきなり陸戦部隊の指揮官が司令長官になると言っても提督達は納得できないと思うのです。准将は私の質問に軽く頷きました。
「従わなければ首にすれば良い。そして若い指揮官を抜擢すれば良いんです」
「若い指揮官?」
「ええ、今帝国で本当に実力が有るのは大佐から少将クラスに集中しているんです。彼らを抜擢して新たな宇宙艦隊を編成すればいい」
「……」
そう言うと准将は名前を並べ始めました。
”ロイエンタール、ミッターマイヤー、ビッテンフェルト、ワーレン、ミュラー、ルッツ……”全部で十人以上は居たでしょう。
「いずれも有能極まりない男達です。精強無比な艦隊が出来るでしょう。オフレッサーが陸戦、艦隊戦、その両方の最高司令官になるんです。そしてその傍にはミューゼル少将がいる。最悪ですよ……」
そう言うと准将はまた眼を閉じて肩を撫で始めました。
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