生存のエスケープ
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りがとう。わたし、がんばる。がんばって、みんなを助ける! それが……わたしを育ててくれたみんなへの恩返しだから!」
哀しみを堪えながらキャロは現状に立ち向かう決意を固めた。まだまだ幼い彼女にこんな過酷な現実は酷やろうけど、このタイミングで彼女とうちが会ったのは、きっと偶然やない。もしかしたらうちがアルザスに来たのは、この境遇に陥ったキャロを助けるためなのかもしれへん。
「ごめんなさい、ザジさん。こんなことに巻き込んでしまって……」
「ええよ、この光景を見た今はもう他人事やない。命を救われた恩もあるし、うちの力、キャロに貸したるよ」
「本当に……ありがとうございます。ですが……これからどうしましょう? 街に行こうにも場所がわかりませんし、宿泊も里がこうなってしまっては……」
「まぁ、仕方あらへんけど野宿になるなぁ。街までは……うちの力を使えばええか」
「ザジさんの力ですか?」
「せや。うちは星読みという力があってな、これは星々の動きから森羅万象、過去現在未来を読み解く技や」
「……?」
「何やうさんくさいと思っとるやろ? せやけど結構色々分かんねんで? とにかく百聞は一見に如かず、いっぺん見てみぃ」
こっちの世界じゃ初めてやけど……読めたで!
「ええか? ルシエの里から南南西の方角に12キロメートル……そこに次元港のある街があるで」
「南南西……ということは、こっちの方角ですね。確か、大人の人が街へ出かける時に向かった方角と同じです」
ちゅうことは次元世界で初めての星読みは、一応成功しとるらしい。ま、他に当てが無いのも事実やし、行けばわかる話や。それにここにいても問題は何も解決せえへん、とにかく移動せなどうしようもあらへんからな。……まぁ、今日は遅いし、集落の外れで野宿するとしよう。街に向かうのは明日からや。
それから……うちが持っていた保存食で、キャロとフリードと一緒に夕食をとり、早めに就寝した。それにしても……寝ているキャロは夢の中でも寂しい思いをしているのか、涙を流して震えていた。思わずうちが彼女の手を握ってあげたら、震えが収まって少し落ち着いてくれた。
「……大丈夫や、キャロはうちが守ったる。絶対、独りぼっちにはさせへんから……」
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