生存のエスケープ
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そのことをお話ししますね。……見えてきました、あれがわたしの……っ!?」
途中で言葉を詰まらせたキャロは突然血相を変えて走り出した。ただならぬ様子にうちも急いで彼女を追い掛け、それと並行して奇襲などに備えて杖を構えておく。
そして、ルシエの里に到着したうちらは、その光景に絶句した。
「そ、そんな……!」
思わず力が抜けて膝立ちになるキャロ。だがこの光景を見た以上は仕方がない、ましてや住人ならなおさら……。
石化。
生きとし生けるものが物言わぬ物体に変えられる状態異常。それがルシエの里の住人全てにかかっていた。逃げようとする者、立ち向かう者、ブレスを吐こうとする竜、飛んでいる姿の鷹、横倒しになった馬……それらが石として野ざらしに放置されていた。……いや、生物だけやない。家屋や建物といった無機物も、この辺りの大地すらも石に変えられており、ルシエの里にあるもの全てが灰色一色に染まった完全な石と化していたのだ。……偶然集落を離れていた、たった一人の生き残りを除いて。
「リフレッシュ!」
うちが使える状態異常回復魔法を使ってみたんやけど、何の効果も無かった。どうやら魔法とかでは簡単に解除できない、特殊な石化らしい。
「石化と聞けば死せる風運ぶ嘆きの魔女カーミラの力を思い出すけど、今の彼女がこんなことするはずがない……第一彼女はヴァナルガンドを封印しとるから、ここに来れる訳があらへん。それにこの石化の範囲……まるで何かが爆発したように広がっとる。こんなんカーミラのやり方とは全くちゃうし、そもそも初めて見たわ。ちゅうことは……」
「お、おじいさん……み、みんな……わたしの声が聞こえないんですか? お願い……返事してください……! お話を聞かせてください……!!」
呆然となったままキャロは石化した人たちに駆け寄っては呼びかけ、返事が返ってこないことに涙を流していた。それは突然全てを失った、かつてのうちの姿を思い出させた……。
「どうして……どうしてこんなことに……!? なんで……優しかったみんなを、こんなひどい目に……!?」
「キャロ……」
「教えてください、ザジさん……わたし、何か悪いことしましたか……? もしそうなら何でもします、だからみんなを助けてください……!」
「落ち着き、キャロは何も悪くあらへん。悪いのはこんなことしでかした奴やで。せやからそいつを見つけ出して、皆の石化を解かせる。皆を助けられるのは、キャロだけや」
「わたしが……みんなを助ける……? ……わたしなんかに、出来るのでしょうか……?」
未だ落ち込むキャロの傍にフリードが近寄り、いさめるように鳴き声を上げる。キャロの力を、自分の真の力を発揮させた光景を思い出させるように。
「フリード……。……あ
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