生存のエスケープ
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ルシエの里。
キャロから聞いた話やと、そこは牧歌的な暮らしを営み、自然と共存する民族が集まっている集落で、小型の竜や狩りに使う鷹、遠出するための馬などを飼育、放牧しとるらしい。竜を育てとるのは集落の加護が関係しとって……まぁ、うちらにとっての太陽樹と同じような意味なんやと。つまり守護竜の加護があるから、この集落にアンデッドやクロロホルルンが寄り付かへんっちゅうわけや。
「だからこの子も無意識にエナジーを使えるんやな……」
「ザジさん? わたしの方をジッと見てますが、何か変なものでもついてましたか?」
「ちゃうちゃう。うちとキャロって、髪の色とか似とるなぁ〜と思ってただけや」
「あ、言われてみれば同じような色ですね。えへへ、お揃いです♪」
嬉しそうにはにかんだキャロは、自分の髪の毛をいじりながらほにゃりと笑った。……うちに妹がいたら、こんな感じなんかな?
「そういや今更な質問やけど、キャロはどうしてあんな所に一人でおったん?」
「わたし……人に見られてると、つい緊張してしまうんです。ちょっと注目されるだけで召喚魔法の詠唱文も噛んじゃうほど……」
「だから一人になれる場所で練習しとった?」
「はい。……でも、ザジさんが落ちてくるのを見つけた時、わたしがやらなきゃあの人が大ケガしちゃうと思って、必死に勇気を振り絞ったらできたんです。あの時、召喚魔法に成功したのは奇跡なんでしょうけど、とにかくザジさんを無事に助けられて良かったと思います」
「奇跡なぁ……うちはそうは思わんで。あれはキャロの勇気と努力が実を結んだ結果や、奇跡や運なんて関係あらへんよ。もっと自信を持ってええんやで?」
「そ、そんな恐れ多い……。でも……褒めてくれてありがとうございます」
うちがニコリと笑って頭をなでると、キャロは照れながらお礼を言ってきた。にしてもキャロって、ほんまええ子やん。なんちゅうか、お持ち帰りしたくなるぐらいに。まあ、実際にはやらへんけど。
日も沈み切って周囲は静けさを増し、空は無数の星の光が瞬く。そのおかげで夜になっても足元が見えるぐらいには明るく、フリードの白い鱗もキャロの小さな体躯もはっきりと見えていた。
「もうすぐです。今日はもう遅いので、わたしの家に泊まってください。明日、大人の人に街まで案内してもらいましょう」
「その前に、キャロの家の人はよそ者が泊まっても平気なんか? ダメならうちだけ集落の外で野宿するけど……」
「大丈夫ですよ。わたしの家は集落の長の家ですし、わたし自身もある意味よそ者ですから」
「なんや事情がありそうやな……まぁ、深くは聞かんとくか」
「ありがとうございます。でもいつか機会があれば、
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