生存のエスケープ
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の心配ならいらないよ。ボク……好ききらいはしないから!!」
翼を広げてこちらに羽を飛ばしてくるフレスベルグに対し、刀を抜いて羽を斬り落とすことで攻撃をしのぐ。しかし直線でしか飛ばない弾丸とは違って羽の軌道はこちらの動きによる空気抵抗の影響もあって非常に読みにくく、さらにフーちゃんを守る必要もあったため、私なりに全力で防いだものの、一枚の羽が私の左膝に刺さってしまっていた。
すぐに刺さった羽を抜こうとしたその時、急に視界がぐらついて意識が飛びかけた。何とか気力で保ってはいるものの、全身にだんだん激痛が生じ、それに伴って痺れも発生してきた。
「う……! な、なにが……!?」
「強くなったオレサマの羽には、クロドクシボグモの毒と同じ成分が塗られている。じきに耐えがたい激痛が全身を襲うだろう。体は麻痺し、息も出来ず、やがて心臓が止まる。しかしそれでは面白くない……新鮮な恐怖を味わった獲物ほど、スパイスが効いて美味くなるのだから!」
クロドクシボグモ……確かこのクモは0.1mgで人間の致死量に達するほどの猛毒を持っている……! そんな劇物が私の体内に入り込んだとなると、ある程度は月下美人の自浄作用が働いてくれるとはいえ、体内の毒は無くならないから一刻も早い解毒が必要だ。しかし……、
「キシャロロロッ!! ……どこからがいい? 好きなところから喰らってやるぞ? 普通の人間が安売りされてるお肉なら、魔導師はミディアムレアのステーキ、じゃあ月下美人はどんな味がするんだろうなぁ!」
「私を、食べても……ぜぇ、ぜぇ、美味しくない、と思うんだけど……」
「いやいや、人間の肉なら男より女、特に若い子ほど新鮮でジューシーだ。魔導師ならリンカーコアの食感も効いて、それこそ格別だぞ!」
もう完全に食材扱いだった。食欲旺盛にも程がある……というかフレスベルグって本気出すと口調が悪くなるようだ。
次元世界に来てからマリアージュ然りニーズホッグ然りと立て続けに襲われてて、その上フレスベルグにまで襲われるとか、もうおうちかえりたい。……なんて、泣き言を言ってる場合じゃないか。都会のど真ん中、それも地上本部の目の前でこんな怪鳥が飛んでるんだ、管理局とアウターヘブン社はとっくに気づいてるはず。イモータルと戦える魔導師が来るのもそう時間はかからないだろうから、彼らが駆け付けるまで何とかして逃げるしかない。
「い……イクス、フーちゃんの防護に、魔力を集中して。ゴホッ、これは……全力疾走しないとダメだ」
『りょ、了解です。ロイヤルガード!』
フーちゃんの身体を保護する魔力膜が張られた瞬間、刺さった羽を引き抜いた私は一気にフレスベルグに背を向けて一目散に逃げだした。今なら全力疾走してもフーちゃんへの衝撃は最小限に抑えられるけど、私
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