0035話『前哨戦、出撃する空母機動艦隊』
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笑顔を向けてくれましたが、私は見逃しませんでした。
提督の手は少しばかり震えていたのです。
それを見て、「ああ、やはり…」という感想を持ちました。
当然です。
私達艦娘は第二次世界大戦時の記憶も持っていますから戦う事に関しては怖くはありません。
それは一度は沈んだ過去がありますから感覚が麻痺しているものなのかもしれない。
ですが提督は本来こんな血生臭い戦いとは無縁の生活をしてきました。
それなのに、神様はどんな罰を与えたのか提督に艦娘の力を与えるなんて…。
そして大本営も大本営です。
たとえ提督の事を思っての行動だとしても提督に最終海域に出撃せよという無茶な命令はさすがに看破できないものがあります。
それでもし提督が沈んでしまったら私でしたら身が引き裂かれるような思いでもうきっと耐えられません。
「妙高姉さん…? どうしたの?」
「足柄…」
そこに私の様子がおかしい事を感覚的に悟ったのか足柄が話しかけてきました。
いけませんね…。足柄に悟られるほどに私は動揺を隠しきれていないようです。
「なんでもありませんよ、足柄。
それより全艦に通達します。そろそろ戦艦棲姫のいるエリアに到着します。
各自武装のチェックを!」
「「「了解」」」
そして索敵が済んだのか目の前には戦艦棲姫の姿があります。
「ナンドデモ……シズメテ……アゲル…」
戦艦棲姫がその余裕をしている笑みを私達に向けてきます。
だけど今、私達は虫の居所が悪いです。
ですからそちらが向かってくるのでしたらお覚悟ください。
それで私は少し残酷な感情に身を任せながらも、
「皆さん、殲滅の用意を!」
私の言葉に全員は分かっているかのように各自艦載機や連装砲を構えて攻撃を開始します。
そう、所詮前哨戦の戦い。
ですから提督の手を少しでも煩わせないためにも戦艦棲姫…あなたにはここで消えてもらいます。
それから私達の一方的な攻撃が深海棲艦群を襲い、戦艦棲姫も最後には第二艦隊の総攻撃を受けてすぐさま撃沈しました。
「提督…? 戦艦棲姫の殲滅を確認しました」
『そうか…。だけど妙高、少しいいか?』
「はい。なんでしょうか?」
『君たちは確かに兵器だけど同時に人間と同じように心も持っている。
だからそんな心を殺した様な戦い方は今後一切しないでくれ…』
ッ!? 提督は私達の事を見透かしていたようです。
それで少し恥ずかしくなりながらも、
「わ、わかりました…気をつけます」
『それならいいんだ。皆にも伝えてくれ。決して怒りを発散するような戦い方はしないでくれと…』
「わかりました」
それで提督との通信を切った後、みんなにその事を伝えると、
「やっぱりしれぇはしれぇです! とっても私達の事を考えてく
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