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=USJ襲撃編= ヘイトセレクト
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するほかない。

「実践経験不足――自分の武器で自滅なさい」
「そういうあんたは観察不足らしいな。これ、破裂しないんだよ」

 俺は手りゅう弾を片手で掴み取り、人差し指と親指でつまんでプラプラさせる。手りゅう弾のピンはこれを見越して端から抜いていないのだ。もちろん超人的な推理の結果ではなく、未来視で目つぶし食らったマヌケを目撃したが故である。やだ、俺格好悪い……。

(――しかし、本気で厄介なのに目ぇつけられたな。前から只者じゃねえとは思ってたが、邪魔するんじゃねえよ!)

 俺の事前計画は概ね上手く行っている筈だった。申し訳程度だが先生に幾つかグレネードを押し付けることにも成功した。当初先生は「自分で使え」と渋ったが、遊撃担当の先生が生命線だからと説得したら黙って持っていった。

 問題はその後、黒霧が個性のワープで皆がUSJ 内に散らされる時、さりげなく囲まれ組から抜けようとした所でつくもちゃんが怖がって俺の服を掴んだのである。
 結果、演技に集中してた俺は彼女を宥めなければならなくなり、未来が変わって俺だけモヤに置いていかれた。つくもちゃんは悪くないというか、未来視に胡座をかいた俺の自業自得である。お粗末過ぎて泣けてくる。

 黒霧は原作じゃイマイチ戦闘に参加しないしやられる場面も多いが、どうにもまだ本気を出す機会に恵まれてない感があって得体の知れない相手だ。実践経験が豊富そうな物言いもしているし、序盤では死柄木の粗に気付きつつも敢えて放置していた節がある。
 デクくんを助けるという目標の為に目立ちたくはないっていうのに、もう手遅れなんじゃなかろうか。これ完全にマークされて殺すリストとかに乗っちゃうパターンだぞ。

「予想外の事態に際してのいっそ冷めた態度に加え、私の思考の一歩先を読みますか。ふむ……お名前をお聞きしても?」
「ヒーローネーム未定だ。本名が知りたいなら雄英体育祭まで待ったら?」
「それまで君が死ななければの話になりますが?」
「道理だな。尤もそれも、あんたが今日ここで逮捕されなきゃの話になるけど」
「……………やはり、君はどうにも毛色が違う」
「毛が生えてるかどうかも怪しい野郎の言うセリフか?」
「口も達者だ。目の前に本物の人殺しがいるというのに――まったく、君のような子供に怖がってもらえないのではヴィランとしては恥辱の限りだ」
「そのまま憤死しな。止めないぜ、俺は優しいから」

 喋りまくって時間を稼いでるが、正直シャレにならん。流石は死柄木のサポートを任されてるっぽい男というか、黒霧の位置取りが嫌らしいせいで同級生ズも13号も手が出せないでいる。後ろの方から聞こえる瀬呂の嘆きが聞こえてきた。

「くっ……!テープの射角が取れねぇ……これじゃあ水落石を助けに行けねぇぜ!!」

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