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ソードアート・オンライン【Record of Swordmaster】
001:始まりの日、終わりの日
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灰色の空、降りしきる雨、暗い路地。コンクリートの壁に咲いた赤い華と、その下で横たわるもの言わぬ肉塊。隅の方では傷だらけの姉が、何かを叫んでいる。
返り血でべっとりと赤く染まったTシャツが雨に濡れて肌に貼り付く。右腕に握った木刀の先端からは、赤い滴がポツポツと垂れている。
「ごめんね……ごめんね………レイ………。」
何かに取り憑かれたか、壊れてしまったかの様に、姉はごめんねと繰り返す。否、壊れてるのは俺のほうか。なにせ………
人を殺したってのに、一切の罪悪感が無いんだから。
どれくらい経ったか、誰かが通報したのか、警察の人がいて、こっちに何か叫んでる。けど、意味を為さない音の羅列にしか思えず、頭の中で言葉が滑っていく。
僅かに残った思考力が木刀を手離そうとするが、右腕が一切言うことを聞かない。
俺、
秋月
(
あきづき
)
零
(
れい
)
は、人として犯してはならない、禁忌に踏み込んだ。
どうやら俺は、自分が思っていた以上に壊れていたらしい。そう理解した瞬間、沸いてきたのは罪悪感でも後悔でもなく、猛烈な自己嫌悪だった。
俺は………どうも、
殺人者
(
ヒト
)
ですら無いらしい。
人ならーーーー殺人者なら、何かしらの感情があって然るべきだろう。でも、俺にはそれがない。
…………嫌だ!
俺は……俺は、人だ!
だから………だから、俺は剣を捨てた。
そうしなければ、俺自身が、刃になってしまうから。
「……っ!?」
体を起こす。どうやらリビングのソファで眠ってしまっていた様だ。
「………ふぅ、最悪な目覚めだな。」
二年前、俺は人を“壊した”。殺した、と言わないのはその時、俺は人ではなかったからだ。殺す、という行為には何らかの感情を伴って然るべきだ。だから、殺したではなく、壊した。
状況的には俺の正当防衛が認められたのだが、俺には関係ない。剣術を、それも本気で学んでいた俺なら、命を奪う事なく無力化も出来た筈だから。
以来、剣はおろか、刃物すら一度も握っていない。包丁は勿論、剃刀や鋏さえ、だ。
剣を……刃を握ると、俺はきっと人じゃ無くなる。俺は、それが怖い。
でも………そうも言ってられないんだよな。
「……あと一時間、か。そろそろ準備しとくか。」
何時までもそのままじゃいられない。けれど、実際に刃物を持つと何をするか分からない。
そこで、考えた《荒療治》が、世界初のVRゲームマシン《ナーヴギア》とそれを利用した同じく世界初のVRMMORPG《ソードアート・オンライン》のプレイだ。仮想空間内なら、何をしても人の命を奪う事はない。
ソード
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