Side Story
少女怪盗と仮面の神父 44
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張するものじゃない。活用するものだぞ」
「……?」
「お前はミートリッテの後見人で、ミートリッテは伯爵の「後継者」だ。絶縁した訳でもない母と子が、いつ・何処で・どんな形で面会していようと、それこそ誰にも……女神にすらも咎める権利は無い」
「「「「!!」」」」
「仕事さえきっちり熟していれば、な」
大きく見開いた瞳が集中する中、王子は腰に両手を当て、再び森へ向かって転身する。
瞬間、気の所為かと感じる程度に小さな……けれど不自然な葉擦れの音が、全員の耳に飛び込んだ。
透かさず臨戦態勢を整える騎士達。
王子とベルヘンス卿は満足気に頷き、わざとらしいほど大きな声を張り上げる。
「さぁて、此処がお前達の頑張り所だ。無事に乗り切った全員にご褒美が待ってるからなー。一人たりとも死ぬんじゃないぞー」
「実は、エルーラン殿下と貴方の娘が一番足手纏いなのですけどね。今回は防御陣形なんですから、何時もみたいに突っ込んで行かないでくださいよ」
「え。ヤダ。間怠っこいの嫌い」
「第一第二第三騎士団を半壊させるつもりですか!? 第一はともかく、他は貴方の特攻姿勢に慣れてないんです! 絶対に止めてください!!」
「冗談だよ、ジョーダン。……ちっ」
「……セーウル殿下に何かあったら、例えエルーラン殿下でもぶっ飛ばしますよ?」
「へいへーい。んじゃまあ、しっかり働きますかねぇ」
飾り気が少ない実戦向けの長剣を鞘から引き抜いて構え、息を長く吸い、長く吐いて呼吸を整えた王子は、真っ黒な森の奥に潜む敵へ研ぎ澄ました殺気を叩き付け……吼えた。
「アルスエルナ王国第二王子にして、王太子付き第一騎士団団長・ソレスタ=エルーラン=ド=アルスヴァリエ指揮下、王国軍所属偵察部隊、並びに第三騎士団団長・ボナフィード=フルウム=ベルヘンス! 我が国へ害意を持ち込む不届き者に鉄槌を下すぞ! 遠慮は要らん! 全力でぶちかませ!!」
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