新入部員
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も言えなくなる。
「じゃあ、放課後凛が付いていってあげるから、一緒にいこ?」
俯いている花陽の顔を覗き込むように凛がそう言うと、彼女はしばらくモジモジした後、上目遣いで友人にあるお願いをする。
「あのね・・・もし花陽が野球部に入るって言ったら、凛ちゃんも付いてきてくれる?」
「えぇ!?」
一人ではどうしても心細く、自信がなかった彼女の心からの頼み。しかし、それに凛は二つ返事でうなずくことはできない。
「ムリムリムリ!!凛野球なんかやったことないし、ルールだって全然わかんないもん!!」
よく野球というスポーツはわかりづらいと言われ、敬遠されることがある。サッカーやバスケのようにゴールを決めれば1点という訳ではなく、説明が難しいところが多々あるからだ。
「大丈夫!!凛ちゃんならできるよ!!花陽が教えるから!!」
「でも・・・」
やっぱり無理、と言いたかったが、今まで見たことがないくらい真剣な目をしている彼女を見て、凛は思わず固まってしまった。
(かよちんがこんなに熱心なの、凛初めて見たニャ)
ずっと受け身だった彼女がこんなに熱心に自分を誘ってくることに驚きを隠せずにいた凛は、そんな彼女の力になりたいと思った。
「わかったニャ!!凛も野球部に入るよ!!」
「ホント!?」
幼馴染みのその言葉に嬉しさを抑えきれず、手を取って笑顔を浮かばせる花陽。
(野球部、ね)
そんな和気藹々としている少女たちのことを、教室から出ていこうとしていた赤毛の少女は、冷たげな瞳で見つめていた。
〜放課後〜
「あなたたち、昨日のあれはどういうこと?」
放課後の生徒会室。ここでは生徒会長の絢瀬絵里が赤いリボンをした三人の生徒と一人の教師を睨み付けていた。
「あれと言いますと?」
「昨日の放課後のキャッチボールに決まってるでしょ!!」
思いきり机を叩き立ち上がった金髪の女性の圧力に押され小さくなる穂乃果たち。それに対し天王寺はなるべく相手を刺激しないようにと頭を下げる。
「すまん、今回の件は俺の責任だ。以後気をつける」
年上の人物が年下の人物に頭を下げるというのは勇気がいる。それをやれるのは責任感の強いものだけ。絵里はてっきり宥めてくると思っていたために予想外の出来事が起きたため、呆気に取られていた。
「・・・とにかく、まだ野球部は正式には認められていません。ですので校内での練習は許可できません」
「えぇ!?そんなぁ!!」
無慈悲な言葉に悲しげな表情を浮かべる穂乃果。だが、他の三人は会長のある言葉が引っ掛かっていた。
(((まだってことは、認める気はあるってこと?)))
眉を
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