1st season
4th night
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しかし、離されても諦める様子はない。最初から織り込み済みといわんばかりにアクセルを床まで踏みこみ、テクニカルな銀座エリアを抜けていく。
「この先の汐留、その先の浜崎橋。さぁ、どう抜けるか見せてもらおうか!」
汐留トンネルで追いつかれるも、その先の上りながら入るS字コーナーでインテグラを引き離す二台。しかし、浜崎橋を抜けて芝公園付近で追いつかれ、はっきりとした差はつかない。
「くっそ、あそこで食いつかれたのはデカいな……」
エボXのドライバーに焦りが見え始めた。しかし、一ノ橋を抜けてから霞が関トンネルまでは高速ステージ。立ち上がりで大きく突き放し、そこからもじりじりと離れていくインテグラのヘッドライトをバックミラーから確認すると、少し安心したように表情に余裕が戻る。
「ん……アイツ、何があった?」
しかしそこで突然、インプレッサがエボXの後ろに着くと、ハザードを出す。それを察知したのか、霞が関トンネルでのブレーキングをいつもより早く深く踏み込む。すると、追いついてきたのは今競っているインテグラではなかった。
「っ!?最近こんなんばっかりじゃねぇかよ!」
その二台、いや、三台をあざ笑うかの如く抜き去っていったのは、深い紫に塗装されたロータスエリーゼSCであった。
そのエリーゼのドライバーは、昼間に「ゴシップハンター」のショップを訪れていた青年であった。
「こういう車で走りこんでみると、意外と楽しいもんだな、このエリアも。好き放題振り回せるのは病みつきになるわ。車には狙ったステージがあるってのは間違いじゃなかったってわけか」
どうやらこのマシンは、青年が「ゴシップハンター」から課せられた試練に関わってくるようだ。いったい彼はどんな恐ろしい車を作ろうとしているのか。
「車は軽くてパワーあってナンボ。だからイギリス車は辞められないってもんよな。こういう頭悪い設計だからこそ、クスリ決めてる感じになれてたまんねぇ」
霞が関トンネルを一気に抜け、すぐに千代田トンネルに入る。一般車を平然とすり抜けていくその様からは自信に満ち溢れた様子しか見えない。
「流石に怖くてまだあんまり攻め込めてないけどな……しかしあのオーナー、どこからこんな車調達してくるんだ?」
するとそんな彼に、まだ混戦状態にあったさっきの三台が同時に襲い掛かる。どうやら、一瞬離れただけで、バトルモードが冷めたわけではなかったようだ。
「おっと、流石にこんな車でこんな走りしてりゃ見逃してはくれねぇよな……いいぜ、どうせ決着なんかつきやしねぇ、誰が最初に降りるかだ」
エリーゼ、エボX、インプレッサ、インテグラ。終わりの見えない異種格闘技戦。誰も見届けるもののない長い闘いが、今改め
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