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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十六話 真実
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ストロプ公に頼めば、あっという間にキュンメル男爵家は無くなり、カストロプ公爵家が肥るだけです」
「……」
オフレッサーがその言葉に頷いた。
「頼られたマリーンドルフ伯爵はキュンメル男爵の頼みを引き受けました。しかしどうすれば良いか困惑した。それでマリーンドルフ伯爵は友人であったヴェストパーレ男爵に相談した……」
ヴェストパーレ男爵? 男爵夫人の父親か……。数年前に亡くなったと聞いているが……。妙なところで人と人が繋がっているな。
「相談を受けたヴェストパーレ男爵は自分の弁護士であったコンラート・ヴァレンシュタインをマリーンドルフ伯爵に紹介したのです。コンラート・ヴァレンシュタイン、エーリッヒの父親です」
「……」
思わずリューネブルク、オフレッサーの顔を見た。二人とも難しい顔をしている。
「コンラート・ヴァレンシュタインは有能でした。キュンメル男爵家の財産を守る傍ら、領内を見て回り経営を改善したのです。そのためキュンメル男爵家は当主が病弱にも関わらず財産は増え豊かになった」
「……」
「しかしその事はキュンメル男爵家に不快感を抱いていたカストロプ公の欲心を刺激する事になってしまった。そしてあの事件が起きたのです」
「リメス男爵家の相続争いか……。カストロプ公はリメス男爵家の騒動を隠れ蓑にキュンメル男爵家の財産を狙ったと言う事だな」
オフレッサーの言葉にキスリングが頷いた。
信じられない思いだ。リメス男爵家の相続争いは俺も知っている。ヴァレンシュタインの事を調べれば嫌でも知ることになる。リメス男爵家の財産を巡り親族であるヴァルデック男爵家、コルヴィッツ子爵家、ハイルマン子爵家が争った。
その争いに巻き込まれヴァレンシュタインの両親は殺された。誰もが知る事実だ。だがその事実の裏にカストロプ公によるキュンメル男爵家の財産横領という真実が隠れていた……。
「ヴァレンシュタイン夫妻の死後、カストロプ公はキュンメル男爵家の財産の横領を図りました、しかし実現はしなかった。コンラート・ヴァレンシュタインは全てを予測していたのです。彼は自分に万一の事が有った場合はカストロプ公を抑えて欲しいとルーゲ伯に頼んでいました」
「なるほど、そういう事か。だが疑問が有る、何故ルーゲ伯はカストロプ公を告発しなかった? 何故辞任したのだ? 勝ったのはルーゲ伯だろう、カストロプ公に罪を償わせるのは難しくなかったはずだ」
オフレッサーの言うとおりだ。だが現実はルーゲ伯は辞任しカストロプ公は財務尚書として勢威を振るっている……。どういう事だ?
「それに何故ヴァレンシュタインを殺そうとするのか、キュンメル男爵家が絡むとも思えんし理由が分からんな」
リューネブルクも訝しげな声を出した。俺も同感だ、どうも腑に落ちない。キスリン
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