最終話 薔薇は咲いてその十五
[8]前話
「行こうな」
「それじゃあ」
「何処に行くんだ?」
「ここに暫くいて」
青薔薇園にだ、そのままというのだ。
「それでね」
「それからか」
「そう、美術館に行かない?」
「御前大学でも美術部だったしな」
「今も絵を描くのが好きよ」
もっと言えば絵について調べて本を買って詠んだりすることもだ、優花は好きだ。このことは男だった時から変わっていない。
「そのことはね」
「じゃあこれからもか」
「時間があればね」
「描いていくんだな」
「何かの絵を」
「そうか、じゃあな」
「姉さんもそれでいいかしら」
優花は姉にも尋ねた。
「そうして」
「ええ、いいわよ」
優子は妹に優しい笑顔で答えた。
「それじゃあ次はね」
「美術館ね」
「そちらに行きましょう」
「それで絵を観て」
優花の大好きなそれをというのだ。
「そうしてね」
「わかったわ」
優子は妹の言葉に微笑んで応えた。
「それじゃあね」
「ええ、絵も観て」
「そうしてよね」
「これからもね」
「楽しく。生きていってね」
「そうするわ」
優花はにこりと笑って応えた、そうして今は青い薔薇の園を観ていた。青薔薇達は何も語らない。しかし様々な経験を経たうえで人生の新しい門出を迎える優花に微笑んでいた、優花はその微笑みを受けて優子と龍馬に言った。
「私、今からまたはじめるわ」
「ええ、新しい人生をね」
「そうしような」
「楽しい幸せな人生を」
こう言うのだった、その瞳は少女のものだった。しかし次第に大人の女のものになろうとしていた。優花が気付かないうちに。
最終話 完
BLUE ROSE 完
2017・1・5
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ