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数分後。撃ち尽くして森からグランサイファーの近くへ戻ってきた時には既にグランはその場で待っていた。負傷者たちがもう倒れていないのは怪我がない人たちで艇に回収してくれたのだろう。唯一シルヴァだけが、私達が戦っていた森に近かったという理由からか回収されていなかった。
グランは撃ちきったのだろう銃を捨て、落ちている短剣を構えた。とことんやるってのね、上等。
その後、剣や弓、数多の武器を拾い戦った。互いに怪我は負うが致命傷はない。
一通りの武器で戦った後、グランはまた歪んだ笑みを浮かべた。マルドゥークの力はいつの間にか解けていたようだ。
「他の団員たちよりも強いじゃないか。また見捨てても大丈夫だな?」
見捨てたの? カレンの声が脳裏に浮かぶ。
「必要であれば、見捨てる」
「見捨てる覚悟もないのにか?」
「見捨てられる! グランもそうして見捨てた!」
今、私はなんて言った。
「そうか、そうか、そうか!」
大層楽しそうにグランは声高々に笑う。いや、笑うしか無いのだろう。彼は見捨てられたんだから。たった二人だけの団で、彼は、私のために見捨てられたんだから。
――グランが私を殺そうとする夢を見る。
「聞いたかお前ら! こいつはお前らを見捨てるぞ!」
彼はグランサイファーの方へ向けて声を張る。そちらへ視線を移せば、甲板から団員皆が私を見ていた。
「どうしたジータ、胸を張って言ってやれよ。私はお前らを見捨てられると」
言えるか。身寄りの無い人もいる。国から追われた人もいる。私を信じると言った人もいる。そんな人を、見捨てられるなんて言えるか。
「黙っているなよ言ってやれ、否言わなくても良いってのか? 俺はお前が団員を見捨てるということの生き証人だもんな!」
「煩い!」
「死人に口なし、殺せば幾らでも言い含められるぞ?」
剣に手を伸ばす。一度も抜かなかった私の剣。
「嘘は吐かない。私は団の為に行動する! 例えそれが死を与えるのだとしても!」
「なら、お前が団の為に死ね」
グランが自身の剣へと手を伸ばす。ここからが本番。他人の得物を使った演舞ではなく、自身の腕の一部となった業物での殺し合い。
どちらかで言えば、知という面では分は私にある。先の三分間、彼は彼が持つ剣で戦っていた。否、この場合一概に剣と論じるのは良くない。もう少し詳しく見るなら反りのある太刀、それも形状と仕立から見て野太刀であろう。刃長は目測だが四尺。これは他団員の武器との差や嘗ての彼の身長と比べているので大きく差はないだろう。違ったとしても一、二寸。刀身は酷く細く、見ているだけでは数太刀の内にたちまち折れてしまいそうだ。
対して、私の武器は反りのない諸刃の直剣。刃長は二尺三寸。切れ味は鋭いがやや細身。
一般に、互いに防具がない屋外での戦い
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