The fate episode
二人目の騎空士
進行度 4/7
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「一年前の凡その事態はこんな具合だ。その後、艇は別の島に不時着。ラカムを仲間に引き入れ、グランサイファーでまた旅路に出発、という具合か」
「……団長さん、見捨てたの?」
カレンの言葉に、胃が締め付けられるようだった。あの日、私はグランを見捨てた。自分自身であの日の行動に怖気立つ。私はグランを救えないとわかった瞬間に、一切の躊躇いなく出港したのだ。気が動転していたのかもしれない。だけれど実際はただ、彼を見捨てても生き残りたいだけだったのではないか……そう思ってしまうのも一度や二度ではない。
否、後悔してるだけではない。恐れているのだ。今でも見捨てたグランが鬼の形相で私を殺そうとする夢を見る。今の仲間たちの内誰かがグランの立場となりあの日を過ごす夢を見る。
私は見捨てた。グランは行けと私に言ってはいたが死ぬ間際には絶対に私を恨んだに違いない。団長が副団長を裏切ったのだから当然だ。
「そう軽々と言うな。ジータがあの日行動しなければ全員が死んでいた。見捨てないで突っ立っているのは彼女にとって一番楽な選択だっただろう。誰も裏切らない。私も、ジータがどうしても見捨てられないと言えば諦めていたかもしれない。だが彼女は三人が生き延びる手を打った。例えそれが今、お前が言うとおり咎として残っていようとも、だ」
カタリナの言葉で私の心が軽くなることはない。彼女が言った通りのことは、私はそれこそ百じゃきかない程自分に言い聞かせてる。殆ど寝る前のおまじないみたいなものだ。
「団長さん」
突然肩を叩かれる。驚き振り返れば、団員であるフィーエが神妙な面持ちで佇んでいた。
「フィーエ」
「何をこそこそしているんですの。早く合流しましょう。買い物はとうに終わっているでしょう」
フィーエが話を聞いていたのかどうか迷い私は直ぐに返答できなかった。
「無粋ながら申しますと、一年前に何を思い行動したかは存じ上げませんが、今ここで立ち止まる道理はございません」
私は苦笑する。嗚呼、彼女が言う通りそんな事を言うのは粋ではない。だが、そんな彼女よりも私がずっと無粋だ。
「立ち止まってたんじゃないわ。少しばかり休憩してたの。ほら、皆のもとへ戻りましょう」
私はフィーエに笑顔で返す。全く、団員に言われちゃ団長としての立つ瀬もない。
「そうですわ――」
フィーエが言い切る直前に、発砲音が聞こえた。家々の間を走る路地であるから正確な方角はわからないけど、距離は然程遠くはない。しかも発砲音には随分と聞き覚えがある。
「シルヴァさんの、ですわよね」
フィーエが首を傾げる。先の発砲音はシルヴァの銃のものだ。シルヴァは艇に残った貴重な戦力である。もしそれが艇から離れているとすれば何かあったに違いない。それに彼女は指を怪我している。魔族との戦闘になっていれば最悪、と
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