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二人の騎空士
The fate episode
二人目の騎空士
進行度 1/7
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くれたが、それでも彼の夢は分からない。何度か尋ねた事はあるが、困ったような笑みを浮かべてはぐらかされるだけで、私は追求を諦めていた。
「今日も精が出るなぁ」
 昼頃、私とグランの稽古を見ていたビィが関心半分、呆れ半分といった具合に声を上げる。朝食後初めた稽古は殆ど休むことなく続けられていて、私とグランは肩で息をしていた。
「それだけジータが本気だって事だろ」
 グランが笑ってそう言えば、ビィは「お前も大変だなぁ」と関心したように呟いた。まあ確かに、毎日稽古に付き合ってくれる彼も凄いと思う。
「しかしまあ二人も強くなったよなあ」
「そうだな、ジータは強くなったよ」
 グランが感慨深そうにビィに同意する。稽古を初めたばかりの頃は、それはそれは悲惨だった。剣を数振りしただけで握力は保てなくなり、構えた銃は動作不良、長物を振るった暁には尻もち必須と言っても過言ではなかった。しかし、今は違う。グランと二人でここまで強くなったのだ。……強くなっていたらいいなぁ。グラン以外と手合わせ出来ないから分からない。それに、グランと行うときでも怪我が無いように実際の剣は使えないので、実戦となるとどうなるかはわからなかった。
「言うぜ、グランもそんじゃそこらの大人にゃ負けないだろ」
「俺なんてまだまださ。ジータの団で働くなら、もっと強くならないと」
「グランが強くなりすぎたら私の立つ瀬がないよ。……既に、かもしれないけど」
 団を率いる人間が団の中で一番強くないといけない、という道理はない。だが、それでも私よりも強くて、こんなに優しい人間を差し置いて私が団長の座に就く、というのは居心地が悪い。
「何言ってんだよ。お前が団長じゃなきゃ騎空士になんてならねえっての。お前が俺に言ったんだろ? 二人で騎空士になるんだよ、って」
 ……こんな風に。こんな風に私を気遣うような言葉を投げかけてくれる度、思うのだ。私のイスタルシアに向かうという我儘に彼が付き合ってくれているだけなんじゃないかと。私の幼馴染という重荷が彼の本当の夢を封じているんじゃないかと。
「どうしたんだ?」
 黙ったままの私を心配しているのか、グランは私の顔を覗き込む。
「ちょっと疲れちゃって……休憩しようよ」
「ああ、そうだな。もうへとへとだよ」
 言い訳のように疲れたと言ったけれど、実際に体は疲れ切ってどうにかしそうだった。膝はとっくの昔に笑い始めていて、魔術の行使も難しいほどに疲弊していた。
「ご飯、偶にはごちそうしようか」
 私が何気ない風を装って提案すれば、グランは顔を綻ばせた。
「おお、誘ってくれるってことは上達したってことだな?」
 自身の顔が赤面するのを自覚する。
「うるさい! 上達したのが剣や銃の腕前だけじゃないって事思い知らせてあげる!」
 声高らかにそう言えば、
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