The fate episode
二人目の騎空士
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「団長さんって好きな人いるのかな」
曲がり角の先から聞こえた声にどきりとする。声の主は私の団の団員であるカレンだ。
「買物の途中だからって呑気な話題だな。それで、何でまたそんな話を?」
答える声はラカムのもの……どうやら団員同士の他愛のない会話のようだ。
「いやー、団長さんって凄い強いじゃん? しかも見た目も綺麗でさ、団内では狙ってる男もいるとかいないとか」
「女ってやつはその手の話が好きだねぇ」
ラカムが呆れたような調子で返せば、「それだけじゃない」とカレンは真剣な声を上げる。
「同じ質問を以前団長さんにした時、彼女はいないって答えたんだ。それで、私は何気なく恋の一つ二つしたほうがいいよーなんて言ったんだけどさ、団長悲しそうな顔して私にそんな資格ないって」
「あー」
ラカムが呻くような声を上げる。……ラカムは、彼を失ってすぐの私達と会い、そして彼の事を話してしまっているから、私が言った言葉の意味もわかってしまうのだろう。
「資格がないって話じゃないさ、あれに関してはジータは悪くない」
「なになに、何があったっての?」
「うっせ、人様には聞かれたくない話があるんだよ」
ラカムがこれで話は終わりだと切り上げようとするが、カレンは尚もせがみ続ける。
「しょうがない、少しだけ教えよう」
突然聞こえてきたのは、またもや団員のカタリナのものだ。彼女も、彼の事を知っている。
「あれは、ジータが、私が、ルリアが、初めて空に漕ぎ出した日の事だ。私たちはあの日、一人の男を見殺しにした」
……あれは一年前の事。
その日、いつものように私とグランとビィ――小さな赤竜らしき生物であり、見た目は翼の生えた蜥蜴そっくりなのだが、蜥蜴と呼ぶと怒る妙な生物――はザンクティンゼルにある草原で稽古していた。いつものようにグランは私の本気の攻撃を軽く往なし、射撃では私よりも遥か先の的に当て、私よりも遥かに精度の高い魔術を行使した。だから、私はいつものように意地になって、へとへとになって体が動かなくなるまでグランに稽古に付き合ってもらっていた。
私には夢があった。イスタルシアと呼ばれる空の果てにある伝説の島へ到達することだ。その場所にたどり着き、そこで待つという父親と再開するのが私の夢である。これはその為の修行。いつか自身の騎空艇を持ち、仲間とともにこの大空を旅する時に困らないように強くなるため、毎日グランと共に切磋琢磨していた。
グランはと言うと……良くわからない。グランはいつもにこにこしていて、いつも私の言う事を聞いてくれていて……だけれど自身の夢が何かは教えてはくれなかった。幼馴染の私がイスタルシアを目指すと言ったときもただ一人応援してくれて、強くなりたいと言えば一緒に強くなろうと約束してくれ、いつか空へ旅立つ時は共に征くと言っては
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