厳しい現実
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たね・・・」
部屋から出て早々に頭を悩ませる三人。天王寺は生徒が集まったらといった手前、手を貸すべきか否か迷った。だが、教師として手を差し出す場面ではそれをやるべきと考えた彼は、一つの提案をしてみる。
「デモンストレーションでもしてみれば?」
「「「デモンストレーション?」」」
鞄を取りに教室へと戻ろうとしていた三人が足を止めて振り返る。
「人が集まりやすい場所で、野球の練習でも何でもやって見せればいい。興味があれば、自然と人は集まると思うけど」
簡単に言えば部活動紹介で、新入生の前でやって見せるような、そういうものをしてみせればいいと考えて提示してみる。それを聞いた三人は、良いことを聞いたと目を輝かせた。
「それです先生!!よーし!!そうと決まれば早速練習だ!!」
「あ!!穂乃果!!」
「待って!!穂乃果ちゃん!!」
走り出した穂乃果を追いかけていく海未とことり。それから三人はもう特訓をし、デモンストレーションへ臨むものだと天王寺は思っていた。だが・・・
《今日の放課後、校庭で野球部の公開練習を行います。皆さんぜひ見に来てください》
「あいつらアホだろ・・・」
昨日の今日でいきなり公開練習を行おうとしている教え子たちに、頭を抱えずにはいられない。しかもデカデカと学校中の掲示板にポスターを貼り付けており、後には引けない状況になっていた。
「ねぇねぇ、うちに野球部なんてあったっけ?」
「なかったと思うけど・・・」
「最近できたとかじゃないの?」
だが、デザインがよかったこともあり話題性は抜群だった。それに、プロ野球が開幕したこともあり、ニュースで野球が出てくることが多くなっているが、取り上げられるのは男子が圧倒的に多い。女子がその競技をやるというのは、物珍しさもあったのかもしれない。
「任せてみるか」
元々部員集めを任せたのは自分なため、口を挟むのはお門違いだろうと考えた天王寺。それに、部活動は生徒たちを育成する場所と聞いたことがあったため、自由にやらせてみることにした。
その日の放課後、校庭にはまばらではあるが、それでも数人の女子生徒たちが集まっていた。
「いっくよー!!海未ちゃん!!」
名目上顧問ではあるため、ケガなどをしないようにと女子生徒たちに混ざって観覧している天王寺。そんな中、彼女たちは体育で使う古いソフトボール用のグローブとそれとは正反対の真新しいボールでキャッチボールを開始する。
だが・・・
「やぁ!!」
穂乃果の手から放たれた白球は、グラブを構えていた少女とはてんで違う方向へと飛んでいく。
「穂乃果!!どこに投げてるんですか!?」
「ごめ〜ん!!」
周囲の視線があるから緊張したのかとも思われたが、時間が経つに
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