厳しい現実
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「では、認めていただけますね!!」
「いいえ」
「「「え?」」」
すんなりいけるかと思っていたところで、まさかの発言。その理由を生徒会長は淡々と告げる。
「部活動は、同好会でも最低五人は必要なの。団体競技なら、試合に出場できる人数が条件になっているわ」
「そんな・・・」
部員を集めやすくするためにと取った行動だったが、まず人を集めなければならないと言われ顔を俯かせる。
「あと六人やね」
「六人・・・わかりました」
「待ちなさい!!」
一礼してその場から立ち去ろうとする穂乃果たち。しかし、生徒会長に待ったをかけられる。
「あなたたち二年生でしょ?どうしてこの時期に新たに部活動を作ろうとするの?」
「廃校を何とかしたくて!!今女子野球もすごい人気が出てきてるって聞いたから・・・」
「そう。なら質問を変えるわ」
熱意は伝わったようだが、彼女の冷酷な眼差しに変化はない。そして彼女の口から、聞かれてはならない質問が飛んでくる。
「あなたたち、野球できるの?」
「それは・・・」
まだ始めようと考えただけで何もやれていない三人は押し黙ってしまう。事実を知った生徒会長は、大きくため息をつく。
「まだ知名度は少なくても、現時点で女子高校野球には200校近くが登録しているわ。最近はようやく地方予選が行われるくらいのレベルになっているの。確かに他の競技に比べたら可能性はあるかもしれないけど、今から始めて勝てるほど甘くはないわ」
(詳しいなぁ)
なぜそんなことを知っているのか天王寺は疑問に思ったが、直後に鋭い視線を向けられちょっとビクッとなる。
「天王寺先生。顧問を引き受けようとしていたようですが、あなた、野球を知ってるんですか?」
「まぁ、それなりには」
本当はムチャクチャ高いレベルを知っているが、ハードルを上げるのが面倒だと考えた彼は多くは語らないでおく。
「そう。とにかく、そんなことでは部活動として認めるわけにはいきません」
「まぁまぁ絵里ち。この子達は部活の申請に来ただけやろ?人数さえ集まれば、うちらに拒否権はないはずや。それに・・・」
苛立っている生徒会長宥めた副会長がそのタレた瞳で少女たちの後ろに立つ教師へと視線を向ける。
「すぐに勝てるチームになるかもしれへんしね」
「!!」
生徒会長とは異なり友好的なはずなのに、なぜか恐怖を感じてしまった天王寺。だが、柔らかな笑みをすぐに浮かべられ、気のせいかと考えるのをやめる。
「じゃ、また人が集まったら来ることにするよ」
「え、えぇ」
これ以上の長居は無用と穂乃果たちに退出を促す天王寺。彼女たちはそれに従い、生徒会室をあとにした。
「あと六人か・・・」
「どうしよう」
「困りまし
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