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機動戦士ガンダム・インフィニットG
第十三話「その力を絶て・後編」
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ブルゼータのハイメガキャノンの威力に繋がっていき、そして防壁は見事に破られた。
そして、目の前は懐の傷からあらわとなるラウラの姿が見えた。それを、一夏が見つめる。
「俺は……俺は、彼女を止めたい。止めなきゃならないんだ! ガンダム、俺に力を貸してくれぇ!!」
ユニコーンガンダムの姿は純白の装甲から紅いラインが走るデストロイドモードへ姿を変えると、そのままガンダムと共にラウラめがけて突っ込んだ。
「ガンダムゥ……!」
最後の悪あがきにラウラは再び触手の突進を仕掛けるも、それもアムロのガンダムが繰り出すビームサーベルによって一瞬で切り裂かれた。
「今だ! 一夏ァ!!」
アムロの合図の叫びに一夏のユニコーン・デストロイドは手のひらをかざして、鱗の浮かぶラウラの頬へ触れた。

暗闇の中で、裸のラウラは蹲り、震えていた。恐怖と悲しみ、そして憎しみによって支配される自分になす術もなく怯えていた。だが、そんな彼女の耳元からある一人の青年の声が聞こえる。
「ラウラ……!」
「……?」
蹲るラウラは、ふと上を見上げた。そこから舞い降りて、こちらへ手を指し伸ばす少年の姿があった。一夏である……
「織斑……一夏……」
無表情のラウラは、そう少年の名を呟いた。
「ラウラ、やめるんだ……こんな事を繰り返していたら、心が壊れて人間ではなくなってしまう!」
「……」
しかし、負の感情によって衰弱する彼女に返答する力などなかった。そして、その言葉を聞きたくないように目をむせる。しかし、それでも一夏は呼びかけた。
「誰だって……悲しみや憎しみを抱えて生きてるんだ。それを力に変えて他者を傷つけようなんてことは間違ってる。憎しみを浄化することなんて簡単にできることじゃない。けど……だけど、長い時間をかけて互いを慈しみ、許し合うことができるとしたら……復讐以外の道もあるはずなんだ!」
「一……夏……」
「君だって、本当はこんな事したくはないはずだ! 憎しみという苦しみに耐え続けることなんて嫌なはずだ!」
「……」
「それでも、立ち上がることができないなら……そのときは、俺がお前の憎しみと悲しみをすべて受け止めてやる!」
「……!」
ラウラは、その言葉に突き動かされるかのようにして弱った体を振り絞りながら、一夏の差し伸べる手にその白い手を指し向けた。

「……?」
ラウラは目を覚ますと、そこは医務室の白いベッドに寝かされていた。日の光が指してらす窓辺には外から流れる風がカーテンを心地よく揺らす。そして、その窓辺には一夏が座って彼女を見守っていた。
一夏は、ラウラが目が覚めたことに気づくと、真っ先に彼女の様子を問う。
「気分はどう?」
「お、お前は……」
やや、ラウラの目が強張った。
「なぁ? どうして、俺のことが嫌いなの?」
「嫌い
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