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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十五話 秘密
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たのです」

「だから反乱軍に亡命した。その際フロトーを殺したのはヴァレンシュタインだという事にしたのか……」
「そうです、エーリッヒがそれを理由として亡命すると言ったのです」
オフレッサーの問いにキスリングが答えた。

リューネブルクが首を捻りながら問いかけた。
「よく分からんな、何故カストロプ公はヴァレンシュタインを殺そうとするのだ? まるで根絶やしにするのを望んでいるように見えるが……」
同感だ、何故大貴族のカストロプ公が平民のヴァレンシュタインを殺そうとするのだ。しかも親子二代にわたって……。

「我々もそれを調べました。エーリッヒを帝国に戻すにはカストロプ公を失脚させることが必要でした。そして失脚させるためにはカストロプ公が何故エーリッヒの両親を殺しエーリッヒまでも殺そうとしているのか、それが鍵になると思ったのです」

「我々とは? 卿とミュラーの他にもいるのか?」
「アントン・フェルナー、士官学校の同期生です。今はブラウンシュバイク公に仕えています」

また予想外の答えだった。ブラウンシュバイク公の下にもヴァレンシュタインの友人が居た。もし、ヴァレンシュタインが亡命などしなかったらどうなっただろう。

キスリングは憲兵隊で順調に昇進しただろう、フェルナーはブラウンシュバイク公の腹心に、ミュラーも極めて有能な人物だった。そしてヴァレンシュタイン……。彼らが一つにまとまり、ブラウンシュバイク公の下に結集したら……。微かに背中が粟立つのが分かった……。

「それで?」
オフレッサーが太い声で先を促した。
「最初は何も分かりませんでした。八年前の事件はあくまで民間の事件とされていました、憲兵隊には情報が無かった……」
キスリングが首を振った。

「しかし何かを掴んだのだな、少佐?」
リューネブルクの問いかけにキスリングが頷いた。
「エーリッヒの両親が殺された直後ですが、当時の司法尚書ルーゲ伯爵が辞任しています」

八年前だ、司法尚書の辞任と言われてもピンとこない。リューネブルクも同様だ、大体彼はそのころは反乱軍に居た。知るわけがない。
「ルーゲ伯爵か、確かカストロプ公に強い敵意を持っていた人物ではなかったかな?」

オフレッサーが記憶を確かめる様な口調でキスリングに問いかけた。意外だった、宮中の内情に等興味が無いように見えたのだが、そうでもないのか……。それとも装甲擲弾兵総監ともなれば、否応なく知らざるを得ないという事か……。リューネブルクも少し意外そうな表情でオフレッサーを見ている。

「そうです、あの事件にカストロプ公が関与しているのであれば、伯の辞任もあの事件に関係あるのではないかと思って接触しました。接触したのはアントンですが、ルーゲ伯は何も言わなかった……。しかし、アントンの見た
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